サステナビリティ

人権の尊重

人権に関するさまざまな国際規範を支持し、基本的人権を尊重します。

基本的な考え方

当社グループは、企業理念の実現のために当社グループが大切にする考え方であり、グループ全従業員の行動や判断の基準となる、「私たちの価値観」を新たに制定しました。「私たちの価値観」では、「社会とお客様のために」、「誠実」、「挑戦」、「スピード」に加え「多様性の尊重」や「チームワーク」を掲げ、多様な価値観や文化、一人ひとりの個性を尊重するとともに、チームの力を最大化することで不可能を可能にすることを目指しています。

また、当社グループの全従業員が遵守すべき法令や倫理規範を定めた「グローリー法令遵守規範」においては、差別やハラスメントの禁止を始めとした人権保護に関する項目を掲げるとともに、国連が提唱する「人権・労働・環境・腐敗防止」についての普遍的原則である国連グローバル・コンパクトへ署名・参加するなど、人材の多様性を含む、人権を尊重した企業活動、環境づくりに取り組んでいます。

このような状況の中、昨今の企業活動と人権に関する社会的要請や期待の高まりを受け、「2026中期経営計画」(2024年度~2026年度)において、「人権の尊重」をサステナビリティ最重要課題の一つとして位置づけるとともに、2024年4月には取り組みの指針として、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に則った「グローリーグループ人権方針」を制定しました。今後も本方針に基づき、当社グループにおける取り組みをさらに強化し、人権を尊重した経営を推進していきます。

グローリーグループにおける人権尊重に向けた取り組み全体像

グローリーグループ人権方針

1.目的

グローリーグループ(以下、グローリー)は、企業理念に基づき、人権の尊重を企業活動における基本原則と捉えており、その責任を果たすため、ここに「グローリーグループ人権方針」(以下、本方針)を定めます。グローリーは、すべての事業活動において人権を尊重し、人権を侵害するあらゆる行為を容認しません。

2.適用範囲

本方針は、グローリーのすべての役員及び従業員に適用します。また、グローリーのサプライヤーや代理店などのビジネスパートナーに対しても、本方針を理解し、支持していただけるよう継続して働きかけます。

3.国際規範の尊重

グローリーは、国連「国際人権章典」や「労働における基本的原則及び権利に関する国際労働機関(ILO)宣言」、「OECD多国籍企業行動指針」を尊重し、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づいた人権尊重の取り組みを推進します。

また、グローリーは、国連グローバル・コンパクトの署名会社として、「国連グローバル・コンパクト10原則」を支持するとともに、事業活動を行う国や地域で適用される法規制を遵守します。その上で、国際的な人権規範と各国の法規制に矛盾がある場合は、国際的な人権規範を最大限に尊重する方法を追及していきます。

4.グローリーの取り組み

グローリーは、すべての役員及び従業員、ならびに、ビジネスパートナーが遵守すべき法令や倫理規範を定めた「グローリー法令遵守規範」及び関連規程において、差別やハラスメントの禁止を含む人権保護について規定しています。また、人権に関する懸念を通報できる手段を提供するとともに、通報者が不利益な取り扱いを受けないよう保護します。

5.グローリーにおける重点課題

(1)差別の禁止

国籍、人種、民族、宗教、信条、出身地、年齢、性別、性的指向、性自認、障がい、婚姻状態、社会的地位などによる差別や個人の尊厳を傷つける行為を許容しません。

(2)強制労働、児童労働の禁止

奴隷や人身取引を含めたすべての強制労働、児童労働を許容しません。

(3)ハラスメントの禁止

パワーハラスメントやセクシャルハラスメントをはじめとする身体的・精神的苦痛を与えるいかなる行為も許容しません。

(4)労働安全衛生の推進

安全・安心で衛生的な労働環境の整備及び従業員の心身の健康保持・増進に取り組みます。

(5)適正な労働時間の管理と賃金支払い

事業活動を行う国・地域で適用される労働時間や賃金等に関する法令を遵守し、適正な労働時間の管理と最低賃金の確保に取り組みます。

(6)労働基本権の尊重

事業を展開する各国において、結社の自由、ならびに労働者の団結権及び団体交渉権をはじめとする労働基本権を尊重します。

(7)プライバシーの尊重と個人情報の保護

個人のプライバシーを尊重するとともに、GDPR(EU一般データ保護規則)をはじめ、事業を展開する各国の法規制を遵守し、個人情報を適切に管理します。

6.人権デューデリジェンス

グローリーは、本方針に基づき、継続的に人権デューデリジェンスを実施します。グローリーは、事業活動が人権に与える影響を評価し、特定された負の影響については、防止または軽減に努めます。

7.是正・救済

グローリーは、事業活動を通じて人権への負の影響を引き起こした場合、あるいはサプライチェーン等の取引関係を通じて人権侵害を助長していることが明らかになった場合は、直ちに調査を実施し、適切な手段により実効性のある是正措置を講じます。また、グローリーは、自社が人権への負の影響を引き起こしていない、または助長していない場合でも、バリューチェーンを通じて自社の事業や製品、サービスが人権への負の影響と直接関連している場合には、その負の影響を引き起こしまたは助長している企業に働きかけを行い、是正・救済が行われるように努めます。

8.ステークホルダー・エンゲージメント

グローリーは、関連するステークホルダーとのコミュニケーションや協議を通じて、本方針に基づく取り組みを継続的に改善していきます。

9.情報開示

グローリーは、透明性の確保に努めており、本方針に基づく人権尊重に向けた取り組みの進捗状況及びその結果を、ウェブサイトや統合レポートなどを通じて適切に開示します。

10.教育

グローリーは、役員及び従業員に対して、本方針の実践に必要な教育や研修を継続的に行います。

11.ガバナンス

グローリーは、本方針を実践するための体制を構築し、グローリー株式会社の取締役会が、本方針の遵守やその取り組み状況を監督します。

12.方針の見直し

グローリーは、より適切に人権尊重に向けた取り組みを行い、また、世界中で変化する法律や規制、倫理的及び社会的要求に対応するため、本方針を定期的に見直し、改訂します。

本方針は、グローリー株式会社の取締役会において承認されています。

(制定:2024年4月1日)

人権推進体制

当社グループでは、取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会の配下に人材部会を設置し、同部会の主管部門である人事部門やサステナビリティ推進事務局が中心となり、国内外の法務部門や購買部門等とも連携を図りながら、人権尊重に向けた取り組みをグローバルに推進しています。

人権デューデリジェンス

当社グループでは、サステナブルな事業および調達活動のために、法令や国際規範の遵守、環境保全、公平・公正な取引等の購買方針を定めた「グローリーグループ責任ある調達推進ガイドブック」を制定し、お取引先へのご理解と遵守を求めています。特に、同ガイドブックでは、サプライチェーンにおける人権尊重の徹底を図るため、児童労働、強制労働、差別や非人道的な扱いの禁止、適切な労働時間の管理と賃金支払いなど、人権尊重に関する項目も設け、お取引先とともに遵守に向けた取り組みを進めています。

さらに、人権尊重や労働安全、その他ガイドブックに定められた方針に対する取り組み、遵守状況などを確認するため、お取引先に対し、「責任ある調達自主点検チェックリスト」による調査を毎年実施しています。2023年度は、計600社(日本:428社、中国:95社、フィリピン:58社、シンガポール:19社)の一次サプライヤーを対象に調査を実施し、すべてのお取引先からご回答をいただきました。

その回答内容について分析を行った結果、2023年度は、一次サプライヤーにおける児童労働や強制労働等、重大な人権侵害に関わる事案は確認されませんでした。

今後は、上記の調査に加え、必要な場合はお取引先への訪問・面談を実施するなど、取り組みのさらなる改善・レベルアップを図っていきます。

 
項目 2021年度 2022年度 2023年度
実績 実績 目標 実績
「責任ある調達自主点検チェックリスト」による調査 554社 583社 600社 600社

なお、当社グループでは、「グローリーグループ人権方針」の中で、奴隷や人身取引を含めたすべての強制労働、児童労働を禁止していますが、Glory Global Solutions (International) Ltd.では、2015年に英国で施行された「英国現代奴隷法」に基づき、ビジネスパートナーとともに、強制労働や人身取引等を防止すべく取り組んでいる内容について、取締役会で決議した声明を公表しています。

人権救済メカニズム

当社グループでは、社内外に4系統の相談窓口(ヘルプライン)を設け、当社グループにおける人権やハラスメントも含めた、コンプライアンス全般に関する相談や意見を従業員(非正規雇用従業員等を含む)から受け付けています。相談窓口への相談により、人権に関する問題が確認された場合は、法務部門や人事部門等の関連部門が連携し、その解決・防止に努めています。2023年度は、ハラスメントを含む31件の相談が寄せられましたが、これらの相談事案に対し、事実調査を行ったうえで適切に対処しました。

また、お取引先に対しては、匿名による通報にも対応した「お取引先コンプライアンス・ホットライン」を設け、通報の対象となる調達担当部門から独立した当社内の担当部門にて、人権をはじめとした相談を受け付けています。

なお、2023年度は通報がありませんでした。

人権意識向上に向けた取り組み

当社では、差別の禁止やハラスメントの防止など、従業員の人権意識の向上に努めており、新任管理職を対象とした研修や、国内外グループ全従業員を対象としたコンプライアンスに関するeラーニングにおいて、ハラスメント撲滅を主要テーマとして啓蒙をはかるなど、人権尊重に向けた教育を行っています。

なお、国内グループの従業員を対象とした2023年度のeラーニングは、7,145名が受講しました(受講率 99.9%)。この他にも、各部門やグループ会社からの要請に基づき、ハラスメントの撲滅を含むコンプライアンス研修を支援・実施するなど、人権に対する意識向上を図りました。