株主・投資家の皆さまへ

トップメッセージ

社長メッセージ

変革の必要性

当社は、100余年に渡る歴史がありますが、今後も持続的な成長を図るためには環境変化に応じた戦略的ステップを取らなければならないと考えています。
当社グループは、長年にわたり金融、リテール、遊技の各市場において、キャッシュ・プロセスを自動化し業務改善に役立つ通貨処理機を提供することで、国内外のお客さまと強固な信頼関係を築いてまいりました。しかし、市場環境は変化し、お客さまの嗜好や求めるソリューションも多様化しています。この先も完全なキャッシュレス社会が訪れる可能性は低いものの、世界中でレスキャッシュへの動きが加速していることは間違いありませんし、当社グループとしても、これまでの通貨処理機などのハードウェア製品を中心としたソリューションだけでお客さまの満足や信頼を獲得し続けることはできません。当社グループが企業価値を向上させるために、持続的成長を図るために、まさに今変革が必要なのです。

2026中期経営計画をスタート

2024年度より「2026中期経営計画」をスタートさせました。本計画は長期ビジョン2028実現への第3ステップとして、これまで種をまき、育成をしてきた事業の成果を刈り取る重要な期間と位置付けています。コンセプトは「GLORY TRANSFORMATION 2026」、つまり変革で、重点的に取り組む3つのポイントを掲げました。
まず1つ目は、重点指標の変革です。これまでは事業成長に重きをおいてきましたが、今後は資本コストを強く意識し、利益に重点をおいた経営にシフトします。2つ目は、事業の柱として、リテール市場、金融市場に加え、新たに飲食市場を設定し、アクレレック社のKIOSKやショーケースギグ社のモバイルオーダーシステムと当社の通貨処理機を組み合わせた新たなソリューションの展開を図ります。飲食市場は、世界中で人手不足が顕著であり、オーダーや決済のセルフ化ニーズが高いことや、店舗数が多いことから、大きなビジネスチャンスがあると考えています。3つ目は、事業モデルの拡大です。これまでの通貨処理機を中心とした事業モデルにDXビジネスを付加します。コア事業を活かした領域でデジタル技術を活用した新サービスをビジネスとして創出していきます。
あわせて、「2026中期経営計画」では、長期ビジョン2028のビジョンである“人と社会の「新たな信頼」を創造するリーディングカンパニーへ”で掲げる「新たな信頼」を、“世界最高水準の製品群とソフトウェア・プラットフォームを融合し、お客さまの店舗DXをサポートするソリューション”と定め、目指す姿として明確化しました。市場で稼働する当社製品等から取得したデータをソフトウェア・プラットフォームで蓄積・分析し、それぞれのお客さまに適した業務効率化や売上向上につながる提案を行ってまいります。

DXビジネスを推進するために

当社グループは、2024年1月に英国のFlooid Topco Limited(以下、フルイド社)を買収しました。同社は、流通店舗において有人決済、セルフ決済、ネット販売など多様化する購買チャネルに対応可能なクラウドネイティブの共通ソフトウェア・プラットフォームを提供しています。このプラットフォームは、ほぼすべてのメーカーのつり銭機やKIOSK、バーコードリーダーなどの端末と接続が可能になっており、店舗で稼働中の端末にも対応します。その強みを活かした新たなソフトウェアビジネスとして期待しています。
当社グループには、さまざまな領域を得意とするソフトウェアエンジニアが多く在籍しています。今後はM&A等で当社グループに加わった会社間での技術連携をより一層強化し、当社グループの強みとして活かしていく考えです。2024年6月にはソフトウェアに関するグローバルミーティングを開催し、フルイド社やアクレレック社を含め世界17拠点のITトップが一堂に会して技術共有や意見交換を行いました。ミーティングでは、相互の強みやグループ全体のありたい姿が共有できたことで、グループとしてスピード感を持ったソリューションの開発・提供がさらに進むと考えています。
一方で、お客さまと接点を持って総合的なソリューションを提案するシステムセールスエンジニアはまだ不足しています。これまでセグメントごとの提案活動やハードウェア製品の提案活動を主体としていましたが、複合型商業施設など複数の施設が集まった業態にソリューションを展開していくためには、包括的なご提案やハードとソフトウェアを組み合わせた提案ができる人材がもっと必要だと認識しています。業種や環境、店舗形態に応じたトータルのご提案をすることで、お客さまのDXを支援していきたいと考えます。こういった人材を充足させるため、「2026中期経営計画」ではDX戦略を策定し、DX人材の拡充にも注力してまいります。

企業価値向上に向けて

当社の株価についてPBR1.0倍を割り込んだ状態が継続している点は、市場からの厳しい評価として真摯に受け止めています。これは、当社の事業イメージが「現金処理機のグローリー」から脱していないことが要因のひとつであると捉えています。
当社グループは、単なるキャッシュ・オートメーション製品を提供するハードウェアメーカーではなく、店舗DXをサポートするソリューションカンパニーへと変わります。
戦略投資により育ててきた新領域事業の収益化についても、一刻もはやく株主・投資家の皆さま、そして従業員にお示しできるよう、稼ぐ力の回復と事業成長の実現に心血を注いで取り組む所存です。
また、収益力の回復によるROE、ROIC、ROAの改善に加え、バランスを考慮した成長投資と株主還元の充実にも取り組んでいきます。特に株主還元については、2023年度の1株当たりの年間配当額を基準とした累進配当、及び株主資本配当率3%以上を配当方針に掲げ、安定的かつ継続的な増配による還元強化を図っていきたいと考えています。
あわせて、投資家の皆さまとの継続的な対話にも注力し、事業戦略への理解を深めていただける活動を行っていきます。

私の皆さまへのお約束

社長メッセージ

当社グループにとって、新紙幣発行対応を終えたこれからが本当の正念場です。これからも、ステークホルダーの皆さまの信頼にお応えするために、グローリーの次なるステージに向け、リーダーとして会社をトランスフォーメーションし、明るい未来に導いていくことに力がみなぎる思いです。
稼ぐ力の回復と事業成長の実現に取り組み、世界11,000人の従業員とともにお客さまの期待を超えるソリューションを提供し続けていきます。「2026中期経営計画」を成功裏に実行し、自ら設定した目標を達成することをお約束いたします。今後のグローリーにご期待ください。

代表取締役社長

原田 明浩