サステナビリティ

社外取締役対談

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対談1:井城讓治・内田純司
将来のグローリーが、すべてのステークホルダーにとって魅力的な会社であるために議論を続けていきます。
井城 讓治
Joji Iki
  • 社外取締役
    指名諮問委員会 委員長
    報酬諮問委員会 委員

川崎重工業株式会社において、ガスタービン・機械カンパニープレジデント、取締役常務、取締役副社長等を歴任。
2017年6月より現職。


内田 純司
Junji Uchida
  • 社外取締役
    報酬諮問委員会 委員長
    指名諮問委員会 委員

新日本製鐵株式會社(現 日本製鉄株式会社)常務取締役、大阪製鐵株式会社 取締役社長等を歴任。
2019年6月より現職。

Q:社外取締役として期待されている役割について聞かせてください。

井城
社外取締役として、独立・客観的な立場に立ち、業務執行の妥当性や合理性の観点から経営を監督するとともに、新領域事業や新市場向けの製品開発、市場開拓、M&A等、グループ経営戦略の立案と実行に際し、執行部門に対して強力に助言・後押ししていきたいと考えています。

内田
株主をはじめとする社外の視点に立って、経営の一層の活性化を促すとともに、公正で適切な業務執行に資する発言を行うことが、社外取締役の責務と考えます。コーポレートガバナンス・コードの改訂に伴い、企業の持続的成長と中長期的な価値向上がさらに求められており、社外取締役の役割や責務が重くなってきていると認識しています。

Q:グローリーの現状のガバナンス体制について、評価と課題を聞かせてください。

井城
取締役会と経営会議の棲み分けが進み、取締役会ではより戦略にフォーカスした議論が交わされるとともに、職務執行の監督機能が働いていると思います。また、取締役会に先立ち、前広に議題に関する情報提供をいただける点と、取締役会の場での議論が活発でさまざまな提言がなされている点は評価しています。ただ、議論がもっと侃々諤々としてもよいのではないかとも感じます。グローリーの海外事業をさらに成長させるためには、取締役会の構成メンバーに海外事業のバックグラウンドのある方を増やし、事業の重心と同じような構成にしていくべきだと考えます。

内田
グローリーは、コーポレートガバナンス・コードが施行される以前より、社外取締役の起用や報酬、指名に係る諮問委員会の設置を行うなど、いち早くガバナンス体制を強化しており、高く評価しています。取締役会でも意見を述べやすいオープンな雰囲気があり、議論も闊達です。一方で、今後海外を軸にさらなる成長を図っていく上で、グローバル人材の育成、そしてガバナンスやリスクマネジメントをどうグローバルに進めていくかは大きな課題です。監査等委員会設置会社に移行したことにより、取締役会ではWhat to doである戦略的な議論を深め、How to doのオペレーションについては執行側で進めている内容を取締役会で報告し、共有しています。今後も経営戦略にフォーカスして議論し、フォローする取締役会にしていきたいと考えています。

Q:取締役会で中長期の視点で議論されている内容と、そこでの課題を聞かせてください。

井城
2021年度からスタートさせている「2023中期経営計画」の戦略はよく検討されていると思いますが、やはりその戦略を実行する力がスピードも含め問われており、取締役会では、「同計画」の達成に向けて、最適な経営資源の配分などを議論しています。事業環境の認識については、トップや一部の管理職だけでなく、一人ひとりの社員にまで同じ温度で危機感が共有されていることが重要です。危機感が足りないと、スピードも含め目標レベルが甘くなりかねません。事業環境が刻々と変化する中、いかに危機感を共有するかが課題だと感じています。

内田
当社は、2012年の英国タラリス社(現 Glory Global Solutions Ltd.)の買収など、いろいろな節目を経験しながらこれまで海外展開も順調に伸ばしてきましたが、環境変化もあり、ここへきて伸び悩んでいます。「2023中期経営計画」では、次の成長を目指し「コア事業と新領域事業のクロス成長」というコンセプトを掲げています。これから社内で具体的にどのようにその戦略を落とし込んで実行していくのか、その進捗を私もしっかりと見ていきます。また、新事業への種まきは辛抱強さが求められます。失敗をしても挑戦を続けることをサポートするカルチャーを醸成し、新しい道を切り拓いていくことが必要です。

井城
中長期に次世代リーダーを育成・選任していく視点で考えると、一つのプロジェクトの中でも個々の役割を部分的に担当させるのではなく、最初から最後まで任せていくことで、広い視野で全体を俯瞰する力を身につけるような機会を与えることも重要です。その意味でも、私は、「より若い世代の社員に直接、質問や対話をする機会が欲しい」と会社に要望を伝えています。

内田
人材についても、会社の売上は海外事業が半分を占めていますが、社員の半分が海外事業を経験しているかというと、現時点ではそうなっていません。真のグローバルカンパニーを目指すためには、海外を含めた人材の交流やジョブローテーションなどを体系的に構築していく必要があります。

井城
私も同意見です。今年4月から海外と国内の2カンパニー制に組織変更されましたが、海外事業にはこれまで以上にエネルギーやリソースを割いて、組織や人材、事業の変化などのグリップを握り、人材育成だけでなく、月次経営報告の中身なども、国内カンパニーと同レベルにまで引き上げていけるとよいと思います。

Q:長期ビジョン「人と社会の『新たな信頼』を創造するリーディングカンパニー」の実現に向けて、グローリーが抱える課題を聞かせてください。

井城
長期ビジョンの実現に向け、普段から、短期・中期・長期とでスパンを分けながら議論を行い、それぞれの将来に向けた絵を描いて、そこを起点にバックキャスティングして、今、何をしなければいけないかを考えていけるよう働きかけていきます。加えて、若い人材の挑戦を後押しするには、私の失敗談なども共有することが参考になるかもしれません。

内田
長期ビジョン達成に向けては、役員や管理職が日々の仕事時間の3割くらいを将来を見据えた業務に充てていくといった、種を蒔く仕事が大事になります。その過程では必ず失敗することがあるでしょう。ただ、失敗を恐れずにチャレンジすることを応援し、促していく、そうした雰囲気を醸成していきたいと思います。グローリーは、現場における能率改善の取組みに非常に熱心で、全国的に表彰される事例もあります。若い人の意欲も取り込み、将来に向けた現場の挑戦を活かしていきたいと思います。

井城
刻々と変化する世の中において、コロナ禍のように、今後も想定外の環境変化に直面することはあると思います。日々の変化を敏感に察知することも重要ですが、昨年コロナ禍を踏まえて当社が業績目標を変更したように、中長期の目標に対して、ある程度の時を経た時点で、現状から将来を見直し、世の中の変化に合わせていくことも重要です。昨年発表された日本政府のカーボンニュートラル目標を受けても、さらなる議論が必要だと考えます。

内田
長期でのビジョンは意識しながらも、今、目の前で取り組むべき地道な仕事をしっかりとやりきる実行力が、将来のグローリーを形作ります。生体・画像認識事業などの新領域や、顧客基盤の裾野を広げていくための施策など、非常に良い議論がなされていますので、新しい領域へのチャレンジを続けてほしいと思います。

Q:最後に、グローリーに期待することを教えてください。

井城
どのステークホルダーもグローリーにとってとても大切ですが、私が特に期待するのは、グローリーで働く社員が、仕事を通じて、一人ひとりの人生の中で代えがたい経験を得られるようになることです。与えられた使命の達成であったり、責任を負うプロジェクトや事業の成功だったりと、一人ひとりの目標は異なりますが、社員の皆さんが全力を尽くしてやり遂げられる、そのような一人ひとりの働き方をサポートする会社であってほしいと思います。

内田
今後もグローリーが、株主、顧客、社員等全てのステークホルダーにとって価値ある魅力的な会社であり続けるためには、グローリーの独自性や個性を活かしながら、社会に役立つ製品・サービスを提供し続ける“いい会社”であることが必要です。そのために何をすれば良いのか、を皆で考えていく会社であってほしいと思います。

対談2:濱田聡・加藤恵一
監査等委員会設置会社の移行で強化した組織監査を有効に活用し、投資家目線をさらに重視した監査を行ってまいります
濱田 聡
Satoshi Hamada
  • 社外取締役(監査等委員)

公認会計士濱田聡経営会計事務所 所長。株式会社西松屋チェーン 社外取締役、WDBホールディングス株式会社 社外取締役(監査等委員)等、他社の社外役員にも就任。
2015年6月、当社社外監査役に就任。2020 年6 月より現職。


加藤 恵一
Keiichi Kato
  • 社外取締役(監査等委員)

2003年10月に、弁護士登録。現 はりま法律事務所 パートナー弁護士。山陽色素株式会社 社外監査役の他、地方公共団体の委員会委員等、外部委員経験も多数。2019年6月、当社社外監査役に就任。
2020 年6 月より現職。

Q:「監査等委員会設置会社」に移行して1年が経ちました。これまでとの違いなど、評価についてお聞かせください。

濱田
監査等委員会設置会社に移行したことで、従来のマネジメントモデルから、モニタリングモデルにシフトし、組織全体の監査をする方向に変わりました。モニタリング機能をさらに強化するため、専任スタッフの増員や、取締役会の議題確認や情報共有をもとに、今まで以上に綿密に議論をしたうえで取締役会に臨んでいます。

加藤
私も、昨年の監査等委員会設置会社への移行を受けて本年4月より監査等委員会の直下に配置した監査部との連携がこれまで以上に強化され、組織監査が前進したと感じています。グローバルに監査を進めていく上では、Glory Global Solutionsの本社があるイギリスにも監査部門がありますが、2021年3月期はコロナ禍によって世界各地で人の移動が制限されたものの、うまく連携をとって、しっかりとグローバルな組織監査を行うことができたと評価しています。

濱田
監査等委員会設置会社移行以前、毎年2月に常勤監査役が、会計監査人と英国にも出張していましたが、2021年3月期はコロナ禍で往査ができませんでした。しかし、会計監査人の現地提携先から四半期ごとの監査報告を受け、問題なく課題の共有等を図ることができました。今後も引き続き、海外拠点や会計監査人との連携をとりながら、より実効性と網羅性のある監査へと高めていきたいと思います。

Q:監査において特に意識して見ているテーマや注視している点はありますか?

加藤
私自身の経験上、小さなコンプライアンス違反が頻発し始めると、のちに大きな問題に発展するということが多々あります。不祥事の発生防止の観点においては、監査の際、細かなコンプライアンス違反などにもアンテナを張って注意して見るようにしています。

濱田
私は会計の専門家として、昨今増えつつある海外でのM&A案件などについて、執行側の意見を尊重しながら、私なりに買収の対価や買収後の評価の妥当性を確認するようにしています。

Q:取締役会での議論の状況について、監査等委員としてどのような印象を持っていますか。

加藤
当社の取締役会は、他社と比較しても、社内取締役も社外取締役も積極的に意見を出し、活発かつ生産的な議論が行われているという印象を持っています。私自身も、事前に取締役会の議題について説明をいただく際にいろいろと質問をしますが、そこでの説明を踏まえても取締役会の議論の中で疑問が残れば、質問をするようにしています。

濱田
取締役会では、監査等委員でない社外取締役は、一つひとつの議案に対して必ず質問をされますし、そこでの議論を聞いて私なりに確認したいことがあれば質問や意見を申しあげます。特に当社は、これまでのキャッシュを前提とした事業展開から、キャッシュレス社会を見通して成長戦略を遂行していかなければいけません。社外役員の意見や疑問に対して、執行サイドが答えるという流れの中で、会社としての戦略の方向性がまとまっていく、そのようなプロセスであることを確認しています。

Q:グローバルガバナンスの重要性が高まる中で、監査業務では特にどのような点に注力していますか。

加藤
監査等委員として適法性、妥当性のチェックをすることは当然のこととして行っていますが、加えて社外取締役として意識していることは、投資家目線をより重視した監査です。リスク投資やM&A、新規事業への投資案件などについては、私は投資家目線に立って、本当に問題点はないかと考えています。中期経営計画の内容やその進捗については、株主や投資家の皆さまの大きな関心事だと思いますが、今般策定するにあたっては、当社がどのような方向に進み、どのように売上を生み出して成長を図ろうとしているのか、投資家目線でしっかりと確認をしています。

濱田
私は、取締役会に先立って取締役会資料が共有された時点で、特に財務会計に関連する部分で意見すべきところがないかを、まず確認するようにしています。業績報告も毎月の取締役会で行われていますが、バランス・シートや損益計算書上に大きな変化が見られた項目については、自分なりにも検討し、会計処理も含めた不明点につき監査等委員会などでも確認したうえで、取締役会に臨むよう意識しています。

Q:欧米では、財務情報に加えて、非財務情報の評価についての議論も高まっています。非財務情報についてどのように考えていますか。

濱田
経済産業省発表の「伊藤レポート」を書かれた伊藤邦雄先生も、最近「ROESG」という言葉を使って、ROEと同時にESGもしっかりと達成することが今後の企業価値の向上に結びつくと述べられています。ROEについては多くの日本企業がこれまで改善を進めてきました。当社においては、ROEの水準をもう少し高く上げていく必要があると考えていますが、ESGへの取組みについても、まさにこれからの課題だと思います。しかしすでに「コーポレートガバナンス・コード」を受けて策定した当社の「コーポレート・ガバナンス・ガイドライン」に基づいたガバナンス体制が構築されているほか、社員が働きやすい環境づくりに向けた努力、さらには地域経済との連携などの面において、随分と意識の高い取組みを実施していると評価しています。

加藤
法規制の視点では、各国でさまざまな法改正や新たな規制の施行が起きています。当社は、法務部門が非常にしっかりとした体制で海外での法令変更や新たな法規制などについて対処しており、その点では大きな心配を感じていません。

Q:今後、監査等委員として目指されている方向性について教えてください。

濱田
私自身は、当社以外にもほかに2社で社外役員を兼務しています。それぞれの会社の違いを踏まえながらも、他の2社で議論になり当社にも共通するテーマについては、当社でもそれがしっかりと認識されているかとの視点で確認するようにしています。今後の方向性としては、引き続き投資家目線の立場に立つことが重要と考えていますので、法的にも会計的にも合法的に業務執行がなされているかどうか、しっかりと見ていきます。そのための具体的な取組みとして、監査等委員会では稟議や報告書を閲覧する機会がありますから、そこで問題となりそうなところはないか、小さな問題が大きな問題へと波及することはないか、会社の体質として問題になるような課題はないかなど、注意深く確認するようにしています。

加藤
私も、濱田取締役と同じように、今後、さらに投資家目線に立つことが重要だと考えています。その一方で、この1年の大きな変化としては、監査等委員会設置会社に移行したことによる組織監査の強化が挙げられると思います。これまで以上に有効な組織監査を行いながら、経営上の意思決定が妥当に行われているかという点についてもしっかりと監査していきます。