当社グループは、国内外における発明等の創造と権利の取得を推進するとともに、「知的財産権の活用」や「他社特許調査による係争等のリスク回避策を講じる」ことにより、当社グル-プのブランド価値向上を目指します。
当社グループは、「新たな収益源の獲得」と「コア事業の収益拡大」を事業戦略の基本方針とし、「2026中期経営計画」を推進しています。
知的財産活動においても、コア技術の保護に加え、新領域事業の拡大を見据えた戦略を展開しています。社内の企画・開発情報が集約される知的財産部門が中心となり、社内部門と連携して競争力の向上に努めています。
特に、注力市場である「飲食市場」については、早期に権利を取得し、競争優位性を確保する計画です。
飲食市場に関する特許出願は、2026中期経営計画の初年度である2024年度から急激に増加しています。現在、買収会社と定期的な発明発掘活動を行っており、これらの会社が把握しているニーズを元に特許を先取りし、特許ポートフォリオを構築しています。独自の仕様、技術を権利化することで競争優位性を確保し、事業を確立するためのベース作りに注力することで、最終年度である2026年度には、飲食市場に関する特許出願件数を2023年度より倍増させ、事業を知的財産面から支える計画です。
当社グループは、IPランドスケープに基づく事業探索に注力しており、他社・自社の特許情報等を豊富に持つ知的財産部門が事業部門と連携し、新たな事業の検証や創造を行い、事業拡大を図っています。
また、M&Aや投資の際には、知的財産部門が積極的に参画し、IPランドスケープを活用して、新領域事業の成長性や対象会社の知的財産評価を実施しています。
当社グループは、買収会社を含む関連事業部門と定期的な発明発掘を行うことにより、独自技術や将来事業に関する先取アイデア等の知的財産権を早期に取得し、独自技術の保護や他社に対する優位性確保を行い、市場での競争力を強化しています。
当社は、知財戦略会議を設置し、知的財産戦略に基づく各施策を円滑に実行できる体制を構築しています。
具体的には、権利活用の是非、特許出願を強化する分野の選定、外国出願の出願国の選定や出願可否など、事業部門の責任者(執行役員)との合意のもと、知的財産活動の意思決定と実行を行っています。
また、年に一度、年間の知的財産活動や予算、人員計画などを、社長を含む経営陣に報告し、活動の方向性について議論しています。
さらに、知的財産部門がグループ全体の知的財産戦略をより推進していくため、各リージョン戦略会議に加え、関係会社とともに知的財産戦略の策定や進捗確認なども行っています。
当社グループは、新規事業の創造のため、知的財産の観点から、次のような取り組みを行っています。
①新事業テーマ、市場規模、協業企業を検討するためのIPランドスケープによる事業方針決定
②契約内容の確認
③製品化にあたっての知的財産クリアランスの実施
④新しい技術を当社固有のコア技術として早期特許出願できる体制の構築
当社グループは、事業領域の拡大を優位にするため、知的財産部門と事業部門の連携による戦略特許の取得が重要であると認識しています。
2021年度から2023年度においては、国内出願に占める戦略特許の比率を年間約10%ずつ増加させており、2024年度以降も現在の戦略特許比率を維持していきます。外国出願については、2024年度以降は、戦略特許比率を年間約5%ずつ増加させる目標を掲げるなど、国内外ともにビジネスと連動した先取り特許網の構築を推進していく計画です。
また、今後有望な市場となる米国については、知的財産部員を現地関係会社に出向させ、知的財産に関するリスクを低減させるとともに、競争優位性のある権利の早期取得への取組みを強化することで、米国の権利保有率を増加させています。
※1 特許・実用新案・意匠の合計件数
※2 国内、海外ともに連結での合計件数
当社グループは、独自技術の知的財産権を活用し、他社との差別化を図り、事業における優位性の確保を行っています。営業活動と知的財産活動を密接に連携し、知的財産権を活用した営業戦略をとることでブランド価値・事業収益の向上を目指しています。
当社グループは、グループ一体となった知的財産活動を行うため、グループ各社が保有する知的財産権を一括管理し、知的財産活動を統括する仕組みを構築しています。また、国内外のグループ会社を対象に、知的財産に関する啓蒙活動を実施しています。新規の事業を担う買収会社においては、知財リスクの低減を図るため、他社知的財産権に対する関連性調査を行うほか、事業の競争優位性を確保するため、出資会社を含むグループ各社から市場状況や顧客ニーズを早期に入手し、先取特許出願を行うなど、知的財産力の強化に努めています。
当社グループは、企画部門、開発部門等を対象に、知的財産に対する意識を高めるための階層別研修を実施しています。近年の事業拡大に伴い、研修対象部門を営業部門にも拡大し、知的財産担当者に対しては、資格・職位別の人材育成プログラムをもとに専門性を高める仕組みを構築するなど、それぞれの段階に応じた人材育成を行っています。さらに、届出申請された優秀な発明や事業に貢献した発明などに対して報償金を支払う発明報償制度の充実を図り、発明者の意欲向上に取り組んでいます。
そして、知的財産権以外のノウハウも当社グループの知的財産と捉え発明報償の対象とすることで、社内の知的財産の蓄積と報償によるモチベーションアップを図り、人的資本の確保と企業価値の向上に貢献しています。