サステナビリティ

活動ハイライト

2016年度の活動ハイライト セキュアな社会を支えるグローリーの顔認証技術

グローリーの顔認証技術

映像や画像から個人を認証する顔認証技術。非接触で照合できる顔認証は利便性が高く、今や公共サービスやビジネスなど、幅広いシーンで活用されています。
照合精度で業界トップクラスを誇るグローリーの顔認証技術は、紙幣・硬貨の識別や手書き文字の認識などに用いる技術を応用しています。顔全体に均等に配置した特徴点を基準に顔照合を行うことで、低画質な場合、サングラスやマスクなどの影響がある場合にも性能が低下しにくく、安定した顔照合が可能です。

  • 精度の高い認証
    人が個人を特定するための判断ロジックをコンセプトに開発した認証エンジンです。「平均顔」を元にし、顔中心に「100カ所」の特徴を活用して認証を行います。
    特徴比較
  • 斜め顔に強い認証
    顔認証エンジンが自動的に「任意角度の顔」を推定します。推定結果に応じて「角度ごとに特徴量を補正」することで、入力・登録画像間の顔向きの違いにも対応可能です。
    角度推定

認証精度の向上でさらに広がる活用の場

2017年2月、当社は、認証精度を格段に向上させた高精度な顔認証技術の開発に成功しました。特に、顔の向きの変化に対する認証精度が飛躍的に向上。これにより、従来の技術では適用が困難であった設置環境(カメラの高さや通路に対する角度)においても顔認証システムの運用が可能となり、さまざまな業態への拡大が見込めます。

2003年の実用化以降、当社の顔認証システムは、大規模商業施設やマンション、病院などさまざまな施設への導入が進んでいます。今後は、金融や流通業界など当社の既存のお客さまに対して、顔認証技術を活用した新たなソリューション提案を行うとともに、新たな価値を創造するビジネスモデルの確立にも取り組んでいきます。

ますます広がりが期待できる顔認証技術を通して、より安心・安全で豊かな社会の実現に貢献していきます。

さまざまな場面で活用されている当社の顔認証システムをご紹介します。

事例1 キーレス滞在で、快適性と利便性を実現

ホテルでストレスのない快適な時間を提供するサービスの一つとして、顔認証によるキーレス入室があります。顔認証によりドアが解錠されるため、滞在者はキーレスで自由に部屋の出入りができ、カードキーなどを持ち運ぶ煩わしさや紛失の心配がありません。

事例2 迷惑行為の軽減へ

書店や小売店などの店舗では、万引きやイタズラなどによる被害の防止策が求められています。顔認証システムの導入により、あらかじめ登録された要注意人物の来店を検知することで、被害を未然に防ぐことが期待できます。

事例3 利用者の属性に合わせた情報提供

顔認証技術をデジタルサイネージと連携させることにより、利用者の年齢や性別などを推定し、その人の属性に合わせた情報を表示。ターゲットごとに、より効果的な情報を提供することができるため、訴求力が高まります。

事例4 関係者のみの出入りでセキュリティーを強化

マンションやオフィスなど、セキュリティーを確保したい場所へ顔認証システムを導入することで、個人を特定したうえでドアを解錠し、許可された人物以外の入室を防止。ICカードや暗証番号による認証が不要のため、利便性を確保しながらセキュリティー強化が図れます。

事例5 お客さまごとにサービス内容をカスタマイズ

当社の顔認証技術が、人型ロボット「Pepper」の法人向けモデル「Pepper for Biz」の「Biz Pack」に採用されました。「Pepper」がお客さまの性別や年齢などを推定し、サービス内容をカスタマイズすることで、そのお客さまに合わせた多様なサービスの提供が可能となります。

事例6 子どもの安全を守り、保育士の負担も軽減

保育所でも、顔認証技術の活用が見込まれています。駐車場や玄関ポーチなどに設置したカメラで来所者を検知し、保育所内へ画面と音声で通知。保育所利用者であれば通知とともにドアが解錠されるため、職員が子どもたちから目を離すことなく来所者の対応が可能です。

無断離院を未然に防ぎ、患者さまの安全を確保する「離院事故予防システム」

全国の医療現場で患者さまの高齢化が進む中、認知症などにより病院を無断で抜け出し、事故に遭うケースが増加。
顔認証技術を利用した「離院事故予防システム」の導入により、患者さまの無断離院を防止します。

離院事故予防システムとは
事顔認証技術を利用した無断離院を未然に防止できるシステム

①見守りが必要な入院患者さまの顔写真をシステムに事前登録
②登録した患者さまが院外へ出ようとされた場合、システムが検知
③撮影画像とともに登録データを、職員のパソコンやタブレットにメールで通知

【①登録】患者さまご本人とご家族からシステム利用の承諾をいただき顔写真データを登録【②検知】顔を検知【③通知】職員が現場へ急行し、確認

お客さま事例 ~公立羽咋病院様~

背景

認知症などにより入院患者さまが病院を無断で抜け出し、ケガをされたり、保護までに長時間かかるケースが発生。患者さまの安全の確保が急務となっていました。

ソリューション

正面玄関や時間外出入口など、院内4カ所に計12台のカメラを設置し、24時間体制で運用。離院事故予防システムの導入により、登録した患者さまの無断離院が発生すると、瞬時に職員へ通知され、迅速な対応が可能になりました。

主な効果

患者さまの無断離院を未然に防止することで、患者さまおよびご家族の安心感につながり、顧客満足度が向上。また、見守りが必要な患者さまの動向確認や捜索に必要な時間が短縮されることで職員の負担が減り、業務の効率化につながっています。

Voice 顔認証技術を利用した離院事故予防システムを導入しました。

地域の高齢者の入院が多い当院では、以前から認知症対策のプロジェクトチームを立ち上げてさまざまなケアを実施しています。その一環として、顔認証技術を利用した離院事故予防システムを導入しました。従来設置していた監視カメラでは、患者さまの顔を知らないスタッフでは対応しづらかったのですが、顔認証の場合は常時カメラを見ていなくても、また患者さまの顔を知らないスタッフでも、発報があればすぐに現場に駆けつけ、的確な対応ができる点に大きなメリットを感じています。

運用開始から約2年、顔画像を登録された患者さまの無断離院は発生していません。患者さまが安心して病院生活を送ることができるよう、今後も「離院による事故件数がゼロ」という状態を持続させていきたいと思います。この離院事故予防システムのような取り組みが全国の医療機関に広がれば、高齢の患者さまはもちろん、ご家族や地域の皆さまの安心や信頼につながるのではないかと思います。

公立羽咋病院 医療安全管理対策室 医療安全管理責任者 山口 羊一 様