2023年4月14日
グローリー株式会社
AI分野トップレベルの国際会議「ICLR 2023」に中部大学との共同研究成果論文が採択
グローリー株式会社(代表取締役社長:三和 元純、以下 グローリー)の鵜飼 祐生(所属:研究開発センター 新技術創発部 AI・スマートセンシンググループ)が手掛けた中部大学(学長:竹内 芳美)の機械知覚&ロボティクスグループ(※1)での共同研究成果論文(※2)が、2023年1月28日にAI分野の世界トップレベルの国際会議「ICLR 2023」に採択されました。
ICLR(The International Conference on Learning Representations)は、毎年開催される機械学習や深層学習の分野において権威あるトップレベルの国際会議で、2023年は5月1日から5月5日にかけてルワンダ共和国で開催され、論文発表が行われます。
今回採択された共同研究成果論文は、「類似度学習(※3)を行う解釈可能な深層学習モデル」について提案しています。深層学習における「解釈可能性」は、AIを利用する企業にとって、今後ますます重要視されます。その背景にはEU(欧州連合)が2021年に公表した「AIシステムを規制する新たな法案」があり、リスクが存在するAIを大幅に規制対象としていることから、企業がAIを利用する場合は、新たなAIリスク管理の強化が必要になってきます。つまり、AIが学習するデータの品質を管理して判断の偏りを抑えることや、AIによる判断の透明性を確保し、利用者へ推論過程を説明することなどが求められます。
しかしながら、従来の画像間の類似度学習を行う深層学習モデルにおいては、学習モデルが非常に複雑であることなどから、学習モデルによる推論結果がどのような判断根拠に基づいて得られているのかが必ずしも明確ではないという問題がありました。一方、近年幅広い分野で利用されつつある画像検索や異常検知への利用用途など、推論結果が重要な影響を与える場面が増えつつあり、AI利用におけるリスクは高まっています。
今回新たに提案した手法では、学習された特徴的な部位を入力画像ペアがどの程度共有しているか、という観点から画像間の類似度を推論します。これにより、どの画像特徴が画像間の類似度に寄与しているかを説明することが可能となります。
グローリーは、画像の認識・識別技術をコア技術とし、幅広いグローバルな市場で様々な製品とサービスを提供しておりますが、この度の研究の成果を新たな事業に活用するとともに、今後もAI分野の技術研鑽を継続し、社会の発展に尽力してまいります。
-
※1中部大学 理工学部 AIロボティクス学科 兼 工学部ロボット理工学科・藤吉弘亘研究室と情報工学科・山下隆義研究室からなる“機械知覚とロボティクス”に関する研究グループです。所属の制約にとらわれず、自由に最適なメンバーで研究に取り組むことができるグループとして、2014年4月から活動を始めました。
-
※2Y. Ukai, T. Hirakawa, T. Yamashita, and H. Fujiyoshi. "This looks like it rather than that: Protoknn for similarity-based classifier." In ICLR 2023
This Looks Like It Rather Than That: ProtoKNN For Similarity-Based Classifiers | OpenReview -
※3データ同士がどの程度似ているか(データ間の類似度)を学習・推論する機械学習手法の一つ。
本件に関するお問い合わせ
- グローリー株式会社
経営戦略本部 コーポレートコミュニケーション部 広報グループ
TEL (079)294-6317
掲載されている情報は、発表日現在のものです。
その後、予告なしに変更されることがあります。あらかじめご了承ください。