PROJECT STORY

#01

OUR CHALLENGE

CI-X開発プロジェクト

OVERVIEW

グローリーが誇る海外市場向け主力製品CASHINFINITYTM(略称CI)は、10年以上にわたり、世界各国のトップ流通店舗に採用されてきた現金管理ソリューションだ。
しかし近年の流通業界では世界的に省人化が進み、よりグローバルな現金管理ソリューションが求められるようになってきた。
2022年9月にリリースされたCI-Xは世界のニーズに応え開発されたCIシリーズの新モデル。プロジェクトに関わった4名のストーリーを紹介する。

MEMBER

YANG CHEN

陳 楊

2013年入社
海外カンパニー
ソリューション推進本部
キャッシュソリューション統括部
流通商品マネジメント部
フロントソリューショングループ
グループマネージャー

ATSUSHI YUKAWA

湯河 惇

2017年入社
海外カンパニー 開発・品質保証本部
システム開発統括部
流通システム開発部
システム設計グループ

HARUKA NAGAHAMA

長濱 晴香

2022年入社
海外カンパニー
経理管理本部
SCM統括部
SCオペレーション部
製品1グループ
サプライチェーンマネジメント

NAO YOKOYAMA

横山 奈緒

2019年入社
海外カンパニー
開発・品質保証本部
システム開発統括部
新製品開発部
ファームウェアグループ

STORY.01

#Story.01

世界のニーズに応えるために
主力製品の新モデル開発に挑む

世界100カ国以上に通貨処理機を展開するグローリー。CIシリーズは、その基幹となる現金管理ソリューションだ。

陳は2016年よりCIシリーズの市場拡大をミッションに、世界的なリテーラー(流通·小売企業)に向けたさまざまなプロジェクトに参画してきた。しかし当時はまだ欧州を中心としたビジネスで、さらなる拡販のためには、形状の異なる各国の通貨に対応する製品構造とシステム、さらに製品ラインアップの充実が必要だった。

この課題に応えるため2018年に発足したのが、新たなCIシリーズ開発をめざすCI-Xプロジェクトだ。グローリーを世界No.1の現金管理ソリューションブランドに成長させたいという、海外カンパニーを挙げての熱い想いが込められたプロジェクトだった。

CI-Xの企画が、陳が在籍する流通商品マネジメント部を中心に始まった。陳も若手ながら中核メンバーの一人としてCI-Xに必要な機能を提案。システム開発部やファームウェア開発部と連携しながら実装に走り出した。

このとき流通商品マネジメント部が掲げていたのが “Love&Passion&Patient” というスローガンだ。プロジェクト進行にはさまざまな困難が立ち塞がるが、製品への愛情とプロジェクトへの情熱があれば解決策は生まれてくる。「ただしプロジェクトの成功には時間がかかります。愛と情熱に加え “a little patience”…少しの辛抱でその日を迎えよう。そんな気持ちから掲げたスローガンでした」

STORY.02

#Story.02

システム開発の若手に託された
現金管理ソフトの抜本改革

CI-Xプロジェクト始動の翌年となる2019年。入社3年目の湯河に突然、CI-SERVERX開発の話が舞い込んだ。

CIシリーズはバックオフィスシステム、フロントオフィスシステム、サーバーアプリケーションの3つから構成される。バックオフィスシステムは店舗バックオフィスに設置するつり銭準備金や売上金を保管する大型の入出金システムで、フロントオフィスシステムは店舗レジエリアに設置するセルフ支払いに対応したシステム。そしてサーバーアプリケーションソフトウェア(CI-SERVERX)はフロントシステム、バックシステムから送信された取引を集計して、それぞれのシステム内の現金量や店舗内移動を管理するアプリケーションだ。

湯河に課せられたミッションは、CI-SERVERの刷新だった。従来製品のリリースから10年以上がたち、プログラムの抜本改革が求められていたのだ。アプリケーションソフトウェア開発の全権が湯河に委ねられた。しかし初めてのことばかりで暗中模索。忍耐を試される日々が続いた。

軌道に乗り始めたのは1年後だ。基本設計の刷新に加え、湯河は従来品の課題でもあったユーザーインターフェイスの改善にも着手。これによりCI-SERVERXでは、ダッシュボード画面からシステム全体の情報がグラフィカルに把握できるようになった。またバックオフィスシステムの必要現金量を予測する機能を追加したことで、店舗内での現金の移動がさらにスムーズとなった。

CI-Xリリース後、マレーシアで自らが手掛けたCI-SERVERXが稼働しているのを確認した湯河は「ついに使われ始めたか」と胸を熱くした。今後はAIシステムをCI-SERVERXに導入してみたい。湯河の情熱は次のフェーズに向かっている。

STORY.03

#Story.03

ソフトウェア設計者の熱意が
社内の知恵を終結させた

湯河がCI-SERVERX開発に抜擢された頃、CI-Xの新機能を組み込んだ試作機の開発が進んでいた。次なるフェーズは、装置を確実に動かすソフトウェアプログラムを組み込むこと。ファームウェア開発部が一気に慌ただしくなった。

そんななか、先輩社員からの推薦で、新人の横山にもある新機能のソフトウェア開発が任されることになった。CI-Xではバックオフィスシステム内での紙幣の搬送をスムーズにするための機能が追加されたのだが、そのプログラム開発を任されたのだ。 

仕様書こそあったものの、具体的な設計は横山に一任された。海外へのテスト導入が控えており、試作機の完成が急がれていた。とにかく時間が足りない。トライアルアンドエラーを繰り返しながら横山は社内を奔走した。

CI-Xはフロントオフィスシステムとバックオフィスシステムの連携機能が多いため、バックオフィスシステムだけを考えたプログラムでは想定外のエラーが起こりがちだった。そのたびに横山は、フロントオフィスシステム担当部署に足を運び質問をしたり、生産工場で問題の起きた装置を見せてもらったりと、それぞれの部門の想いを繋ぎながら問題の早期解決をめざした。試作機から量産·出荷へとプロジェクトが進むにつれ、横山の存在は社内で広く知られるようになっていった。

一人の力ではプロジェクトは成り立たない。「ミッションを達成できたのは、プロジェクトに対する熱い想いを持つ先輩方が、質問を嫌がらず何度もアドバイスしてくださったからだと実感しています」と横山。次の機会があれば企画立ち上げから参画したい。会社の中核を担う社員への成長を彼女はめざしている。

STORY.04

#Story.04

半導体不足を乗り越え
未展開国へCI-Xを展開

キャリア採用として2022年2月に入社した長濱。彼女がCI-Xプロジェクトに参画したのは、CI-Xの本格リリースを前に、従来製品展開済みの国にテストシステムを納入していたタイミング。未展開国である香港へ120台の大口受注を成功させていた。

だが2022年といえば、COVID-19パンデミックの影響で半導体不足が起こり、部品調達が困難だった時期だ。今後アジア圏にCI-Xを拡販していくためにも、香港への納期は延ばすことはできない。長濱は何としても出荷をやり遂げたいという気持ちだった。

「生産が追いつかず、限りある在庫をどの国に優先的に出荷していくべきかを、流通商品マネジメント部と毎週打ち合わせをしていました。また生産管理部とも毎日のように会話をし、調整を続ける日々でした」

本来なら、本社工場で生産したCI-Xを物流倉庫に運び、そこから港や空港へ出荷するのがセオリーだ。しかしそれでは香港への納品は間に合わない。初回納入は本社工場に直接トラックを呼び、完成したてのマシンを積み込むことで納期を間に合わせた。トラックを見送った長濱の胸は、やり切った想いでいっぱいだった。

CI-Xのリリースを乗り切った長濱が現在めざすのは、海外子会社と連携し、アメリカ、オランダ、シンガポールにあるグローリーの海外物流拠点までサプライチェーンの視野を広げることだ。製品そのものの価値に加え、グローバルな調達でデリバリー面でも顧客に満足を提供できれば、次の販売機会への一歩となる。これからも長濱の挑戦は続く。

AFTER STORY

#プロジェクトの今後

2023年8月、CI-Xは主要モデルすべてのリリースを完了した。メンバーたちの“Love&Passion&Patient” によりCI-Xはビジネスモデルをさらに拡大し、香港を皮切りに未展開国であったスイスやポーランド、フィリピンなどにも続々と販路が広がっている。CI-Xの更なる海外展開により、グローリーはグローバル企業としての存在感を増していくはずだ。