自動つり銭機とは?仕組やできること、レジ運用ごとの活用方法を分かりやすく解説
2026.09.01
この記事で分かること
- ・仕組みと、POSレジとの役割の違い
- ・導入で実現できること
- ・レジ運用ごとの使い方
- ・向いている店舗と、導入前の確認点
自動つり銭機とは、店舗の現金管理を自動化する機器
自動つり銭機という名称からは、つり銭を出す機能だけが想像されがちです。実際に担うのは、現金の受け入れから収納、機内在高の把握までを含む一連の処理です。
自動つり銭機の概要
自動つり銭機とは、POSレジなどと連携して現金の入出金を自動で処理する機器です。紙幣を挿入し、硬貨を投入すると、機器が金種と枚数を判別して入金額を計数。POSレジなどからの指示で、つり銭を払い出します。
自動つり銭機が担う主な処理
- ・紙幣・硬貨の受け入れ
- ・金種の識別と枚数の計数
- ・つり銭の払い出し
- ・現金の収納と機内在高の管理
押さえておきたいのは、自動つり銭機は「レジそのもの」ではなく、POSレジと連携して現金処理部分を担う機器だという点です。POSレジが「何をいくらで販売したか」を管理し、自動つり銭機は現金の受け渡し部分だけを担当します。手作業で数え直す工程がなくなり、会計の正確性とスピードを両立しやすくなります。
POSレジとの連携の仕組は、別記事であらためて解説する予定です。
自動つり銭機が普及してきた背景
自動つり銭機は、小売店や飲食店、医療機関など幅広い業態へ導入が進んでいます。広がりの背景にあるのは、人手不足と、現金業務を効率化したいというニーズです。厚生労働省の分析では、小売・サービス分野で人手不足と回答した事業所が、正社員・パート・アルバイトともに5割を超えていました。
出典:厚生労働省「令和6年版 労働経済の分析」第2章 人手不足への対応
キャッシュレス決済が広がっても、現金を選ぶお客様がいなくなったわけではありません。2025年のキャッシュレス決済比率は58.0%にとどまります。残る現金業務を効率化できれば、限られた人員を接客や店舗運営へ振り向けやすくなります。
出典:経済産業省「2025年のキャッシュレス決済比率を算出しました」
2024年7月3日には新紙幣の発行も始まりました。紙幣が切り替わる際は機器の対応状況を確認する必要があり、この改刷も現金の取り扱いを見直す契機となっています。
自動つり銭機が現金を処理する仕組
POSレジから届く会計金額という情報の流れと、店頭で受け渡される現金の流れ。二つを分けて追うと、仕組が整理できます。
入金からつり銭払い出しまでの流れ
現金会計は、POSレジが会計金額を確定させるところから始まります。商品の登録や値引きの計算はPOSレジの役割で、支払い方法に現金が選ばれると、その金額が自動つり銭機へ送られます。
入金からつり銭払い出しまでの手順
- POSレジで商品を登録する
- POSレジが会計金額を確定し、自動つり銭機へ現金を受け入れる指示を送信する
- 紙幣を挿入し、硬貨を投入する
- 自動つり銭機が金種と枚数を計数し、POSレジへ返す
- POSレジが入金額を照合し、不足額・つり銭額を判定する
- POSレジから指示を受け、自動つり銭機がつり銭を払い出す
自動つり銭機の利用にはPOSレジとの連携が必要
自動つり銭機は紙幣や硬貨を識別できますが、どの商品をいくらで販売したかは単体で判断しません。そのため、利用にはPOSレジなどとの連携が前提となります。
重要:導入前に接続可否の確認を
- ・自動つり銭機は、単体で商品登録や売上管理を行うレジではありません
- ・会計金額を送信するPOSレジなどとの連携が必要です
- ・使用中または導入予定のPOSレジと接続できるかを、事前に確認してください
制御元はPOSレジに限りません。会計金額を判断できる上位端末であれば制御でき、券売機や入出金機と組み合わせる構成もあります。
稼働中のレジへ後から追加できるかは、レジの種類によって異なります。ケーブルがつながるかだけでなく、POS側のソフトウェアや通信仕様、接続実績の確認も欠かせません。接続条件を先に整理しておけば、導入後に想定外の追加費用や運用変更が生じる事態を避けられます。
自動つり銭機の導入で実現できること
人が担っていた現金の計数や受け渡しが機械による処理へ置き換わります。変化は会計の場面にとどまりません。
つり銭を自動で正確に払い出す
基本的な働きは、会計金額に応じたつり銭を機械が計算し、金種別に払い出すことです。手作業では、預かった金額の見間違いや、つり銭の数え間違い・渡し間違いが起こり得ます。計数と払い出しを機器が担えば、現金授受に起因するミスは大きく減らせます。
暗算や金種の選び分けが不要になる効果は、繁忙時間帯や、レジに慣れていないスタッフが担当する場面で特に大きくなります。現金を正確に扱うプレッシャーが軽くなり、接客や商品の確認へ意識を向けやすくなります。
ただし、商品登録の間違いや値引き操作の誤りまで防げるわけではありません。
売上金や在高を正確に管理する
収納した現金と払い出した現金を機内で計数するため、現在いくらの現金が機内にあるのかを金種別に把握できます。
キャッシュドロワーを使う運用では、閉店後に紙幣と硬貨を金種ごとに数え、売上データと照合する作業が必要でした。機内在高が記録されていれば、この数え直しの大部分を省けます。
つり銭準備金を機内に残して売上金だけを回収する運用にすれば、翌日分の準備金を機器が用意するため、開店前の作業も軽くなります。レジ締めにかかっていた時間を短縮し、閉店後の残業を減らすことにもつながります。ただし、決済端末の売上確認や取り消し・返品の確認は別に残ります。
レジ締め業務の進め方は、以下の記事でも解説しています。
▼関連記事
レジ締めを標準化するには?現金が合わない原因と対策
現金の取り扱いを効率化・厳正化する
現金を機内に収納し、必要なつり銭だけを払い出す構造により、スタッフが紙幣や硬貨へ直接触れる機会そのものを減らせます。
現金管理の透明性を高める主な機能
- ・収納部の施錠
- ・権限に応じた操作の制限
- ・入金・出金・補充・回収などの操作履歴の記録
- ・金種別の在高確認
現金に触れられる担当者を限定し、操作を記録に残せるため、内部不正や盗難の抑止にも役立ちます。
もっとも、機器を置くだけで不正がなくなるわけではありません。鍵と権限の管理や、売上金を回収する手順も併せて整えることが前提です。
現金管理の考え方は、以下も参考にしてください。
▼関連記事
レジの現金管理を改善するには?トラブルを防ぐ仕組づくり
自動つり銭機の運用方法の種類
自動つり銭機は「レジそのもの」ではなく、現金の受け取りや計数、つり銭の払い出しを担う機器です。そのため、店舗のレジ運用に合わせてさまざまな会計方法へ組み込めます。
レジ運用ごとの違いを比較
三つの運用方法は、誰が商品を登録し、誰が支払い操作を行うかという点で分かれます。
| 比較項目 | フルセルフレジ | セミセルフレジ | 有人対応レジ |
|---|---|---|---|
| 商品登録 | お客様 | スタッフ | スタッフ |
| 支払い操作 | お客様 | お客様 | スタッフ |
| 現金の受け入れ | お客様が入金 | お客様が入金 | スタッフが入金 |
| 現金の手渡し | なし | なし | あり |
| スタッフの役割 | 操作案内、年齢確認 | 商品登録、接客、精算の案内、年齢確認 | 商品登録、接客、会計操作、年齢確認 |
| 自動つり銭機 | 利用できる | 利用できる | 利用できる |
| 向いている店舗の例 | スーパーマーケット、ディスカウントストア | ドラッグストア、調剤薬局、スーパーマーケット | 飲食店、専門店 |
※フルセルフレジ・セミセルフレジ・有人対応レジは自動つり銭機の種類ではなく、商品登録や支払いを誰が行うかによるレジの運用方法です。
表のとおり、自動つり銭機はいずれの運用方法でも利用できます。違いは会計業務の分担にあります。対面接客を残したまま、現金業務だけを効率化する選択も可能です。
フルセルフレジで利用する場合
フルセルフレジは、商品の登録から支払いまでをお客様自身が行う運用です。現金に対応する機種では、端末の内部で計数とつり銭の払い出しが処理されます。複数台を設置すれば会計が分散し、少人数で多くのレジを見守れます。会計業務を大きく削減できるため、人手不足の解消を優先したい大規模店舗に適しています。
ただし、完全な無人運用になるとは限りません。読み取れない商品への対応や年齢確認など、スタッフがかかわる場面は残ります。
セミセルフレジで利用する場合
セミセルフレジは、商品登録をスタッフが担当し、支払いをお客様が行う運用です。登録を終えた会計情報が精算機へ送られ、お客様が支払い方法を選んで精算します。読み取り漏れが起こりにくく、支払いの間に次の会計へ進める点も特長です。接客を維持しながら、スタッフとお客様が現金を直接手渡しする機会を減らせます。
スーパーマーケットやドラッグストア、飲食店のほか、スタッフによる内容確認を残したいクリニックや調剤薬局でも採用されています。
有人対応レジで利用する場合
有人対応レジ(POSレジ+自動つり銭機)は、スタッフが接客しながら商品登録と会計操作を行う運用です。お客様から預かった現金はスタッフが機器へ入金し、計数とつり銭の払い出しは自動つり銭機が担当します。従来の接客スタイルを変えずに、現金管理の正確性と会計の効率化を図れます。
商品の説明や包装といった対面のやり取りを残せるため、接客を重視する飲食店やアパレル店、専門性の高い商品を扱う店舗で多く採用されています。
自動つり銭機の導入が向いている店舗
導入効果は、業種そのものよりも、店舗が抱える業務課題によって変わります。会計件数が多い、レジ締めに時間がかかる、スタッフの入れ替わりが多い。こうした店舗ほど、効果を実感しやすくなります。
飲食店・小売店
飲食店と小売店は、会計件数が多く、ピーク時のレジ待ちや現金過不足が課題になりやすい業態です。
飲食店では、スタッフが注文受付や配膳を兼務するケースが少なくありません。現金を数える時間が短くなれば、その分だけ本来の業務に戻れます。現金に触れる機会が減る点も利点です。
小売店では一日の会計数が多いため、わずかな誤りでも積み重なります。現金の受け渡しにかかる時間が短くなり、レジ待ちの改善やレジ締めの負担軽減につながります。
飲食店のレジ課題と導入効果は、以下の記事で詳しく解説しています。
▼関連記事
自動つり銭機のメリットとは?飲食店のレジ課題を解決する導入効果と選び方
クリニック・調剤薬局
クリニックや調剤薬局は、会計時の現金の受け渡しを減らしたい、非接触に近い形で会計したいというニーズが強い業態です。
受付スタッフは、患者の受付や保険証の確認、電話対応などを会計と並行して担当します。会計が滞れば待ち時間が延び、受付業務全体に影響が及びます。現金の計数を機器に任せることで、患者の待ち時間短縮とスタッフの負担軽減を同時に進められます。
一方で、機器の操作に不慣れな方も利用します。投入口の分かりやすさや表示の見やすさ、スタッフがすぐ支援できる配置も確認しておきましょう。
人手不足やスタッフ教育に課題がある店舗
業態を問わず、少人数で運営している店舗やアルバイトの入れ替わりが多い店舗にも向いています。理由は、現金の取り扱いに関する教育の負担を減らせるからです。
手作業の会計では、紙幣と硬貨の数え方、つり銭の計算、過不足が出たときの対応までを教える必要がありました。計数と払い出しを機器が担えば、新人スタッフでも早い段階から会計を任せられます。教える項目が減る分、接客や商品知識といった店舗ならではの教育に時間を使えます。
なお、POSレジの操作やエラー時の初期対応、現金の補充と回収については引き続き教育が必要です。
自動つり銭機の導入前に確認したいポイント
本体の機能だけでなく、POSレジとの接続可否や設置場所、故障時の対応まで含めた検討が求められます。特に見落とされやすいのが、次の二点です。
設置スペースを確認する
確認すべきなのは、本体の寸法だけでなく、日常の運用に必要な空間まで含めた設置条件です。
設置前に確認したい項目
- ・本体の幅・奥行き・高さ、および質量
- ・カウンターの耐荷重と、改修の可否
- ・収納部や扉を開き、現金を補充・回収するための空間
- ・保守や点検作業を行うためのスペース
- ・電源の位置と、接続ケーブルの取り回し
- ・お客様側とスタッフ側、双方の動線への影響
お客様自身が入金する運用では、投入口と取り出し口の位置も重要です。セルフレジ向けに本体の奥行きを33cmまで抑えた機種もあり、カウンターの広さや運用方法に合わせて選べます。
寸法や設置条件は製品ごとに異なるため、候補となる機種の仕様書を確認してください。
サポート体制を確認する
自動つり銭機は精密機器であり、停止すれば現金会計そのものが止まりかねません。そのため、不具合が起きたときの保守・サポート体制が重要になります。
確認しておきたいサポートの内容
- ・問い合わせ窓口の受付時間と、土日祝日の対応可否
- ・現地訪問の対応地域と、訪問までの目安
- ・保守契約の範囲、定期点検や消耗部品の交換
- ・紙幣・硬貨が詰まった際の初期対応の方法
- ・メーカーが異なる場合の連絡先の分担
不具合の原因は機器本体とは限らず、POS側のソフトウェアや通信設定が関係する場合もあります。連絡先を事前に決めておきましょう。
なお、エラー解除の手順を画面にガイド表示する機種であれば、紙幣詰まりのような軽度のトラブルは店舗のスタッフだけで対処できます。代替手順まで用意しておけば、万一の際も営業を止めずに済みます。
グローリーの“つり銭機”は国内シェアNo.1
グローリーは、1992年に国内で初めて自動つり銭機を開発したメーカーです。以来、有人対応レジ向けからセルフレジ向けまで製品を広げ、スーパーマーケット、飲食店、アパレル店、クリニック・薬局、専門店などで使われています。
東西2カ所のコールセンターと全国100カ所以上の直営サービス拠点、そこに配置された約1,000名のスタッフが、導入後の運用を支えます。
自店舗に合う運用や製品が判断しづらい場合は、業態や会計件数、使用中のPOSレジを整理したうえでご相談ください。
▶製品の詳細はこちら
※国内シェアNo.1はグローリー調べ。主要POSベンダーへの聞き取り調査および公開情報を基にした推定出荷台数の比較。調査期間:2017年~2024年の累計。※保守サービスの利用には別途契約が必要です。
自動つり銭機についてのよくある質問
ほかの機器との違いについて、特に多い三つの質問に回答します。
POSレジと自動つり銭機の違いは何ですか?
POSレジは商品登録や価格計算、売上管理を行う機器・システムであるのに対し、自動つり銭機はそのうち現金の入出金と計数を担う機器です。両者が連携することで、商品登録から現金会計までが一つの流れとして成り立ちます。役割の違いを整理しておくと、導入時に何を検討すべきかが明確になります。
自動つり銭機を導入するメリットは?
主なメリットは、会計ミスの防止、レジ締めの効率化、レジ待ち時間の短縮、現金管理の厳正化の四つです。機内在高が記録されるため閉店後の数え直しが減り、施錠や操作履歴を使えば管理の透明性も高まります。スタッフの経験に左右されにくい会計手順を作れるため、店舗全体の運用を安定させられます。
導入効果をより詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
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自動つり銭機のメリットとは?飲食店のレジ課題を解決する導入効果と選び方
自動つり銭機と自動精算機の違いは?
自動つり銭機が現金の入出金と計数を担う機器であるのに対し、自動精算機はお客様自身が会計内容の確認から支払いまでを完結させる精算機です。自動精算機の内部に自動つり銭機が組み込まれている場合もあり、両者は必ずしも二者択一の関係ではありません。現金処理の機能と会計全体を担う端末という切り分けで捉えると、自店舗に必要な機器を選びやすくなります。
まとめ
自動つり銭機は、POSレジなどと連携し、現金の受け入れから計数、収納、つり銭の払い出しまでを自動化する機器です。商品登録や売上管理を担うPOSレジとは役割が異なり、両者を組み合わせることで現金会計が成り立ちます。
フルセルフレジだけでなく、セミセルフレジや有人対応レジにも組み込めるため、対面接客を残したまま現金業務だけを見直せます。現金の取り扱いを機械に任せられれば、スタッフは接客や商品対応といった本来の業務に集中できます。
検討を進める際は、使用中のPOSレジと接続できるか、設置スペースと動線に無理がないか、故障時の保守・サポート体制が整っているかを確認しておきましょう。