つり銭準備金はいくら必要?
内訳と管理のポイントを解説
COLUMN
つり銭準備金とは、店舗での会計に備えて用意しておく「現金の在庫」を指します。つり銭準備金の用意が少ないと、つり銭不足によって会計が滞り、販売機会を逃すリスクがあります。一方で、多く持ちすぎると盗難や不正のリスクが高まり、資金の効率的な活用も妨げられます。
つまり、つり銭準備金は「少なすぎても多すぎても不都合が生じる」ため、適正な金額を把握して管理することが大切になります。
この記事では、
つり銭準備金の目安や管理方法、業務を効率化するための工夫についてご紹介します。
「小売店・飲食店・クリニックなどを経営しており、現金を日常的に扱う」「つり銭過不足によるトラブルが起きたことがある」という経営者の方は、参考にしてください。
つり銭準備金とは?
つり銭準備金とは、
レジに入れておく「つり銭用の現金」です。会計時にお客様とスムーズに金銭のやり取りを行うために欠かせないため、適切な金額を準備・管理することが求められます。
つり銭準備金の金額が適切でない場合には、次のようなリスクが生じます。
| 不足している場合 | 多すぎる場合 |
|---|---|
|
● つり銭が足りず、会計が滞って
販売機会を逃す
|
● レジ内に現金が過剰に残り、
防犯上のリスクが高まる
|
1日の売り上げを正確に集計するためには、営業開始前に用意したつり銭準備金の金額を正確に把握しておくことが不可欠です。そして翌日の営業に備え、再度適切なつり銭準備金を用意する必要があります。
つまり
、つり銭準備金を「現金の在庫」として捉え、過不足のない適正な量を準備・管理することが店舗運営において重要になります。
つり銭準備金の目安と金種の内訳例
つり銭準備金の額や金種の配分は、店舗の業態や客単価、来店数によって大きく異なります。例えば、10円単位、100円単位でメニュー金額を設定している場合には、1円玉や5円玉は原則不要です。
ここでは一般的な目安として、100,000円・50,000円・30,000円を準備する場合の金種内訳を業態別に解説します。
一般的な目安になりますので、ご自身の店舗運営に沿ったつり銭準備金のご準備をお願いします。
100,000円を準備する場合
100,000円のつり銭準備は、来客数が多く、1日の取引件数が多い 飲食店や 小売店におすすめです。目安として以下の条件を想定しています。
●
顧客単価:1,000円~3,000円
●
営業時間:10:00~21:00(11時間)
●
1日あたりの来客数:約100~150人
特に5,000円札や1,000円札、500円玉、100円玉は使用頻度が高いため、多めに用意しておくとスムーズな会計作業につながります。顧客単価や営業時間、1日あたりの来客数を考慮してつり銭準備金を決めることが重要です。
【内訳の例】
| 金種 | 枚数 | 金額 |
|---|---|---|
| 10,000円 | – | – |
| 5,000円 | 4枚 | 20,000円 |
| 1,000円 | 40枚 | 40,000円 |
| 500円 | 40枚 | 20,000円 |
| 100円 | 150枚 | 15,000円 |
| 50円 | 40枚 | 2,000円 |
| 10円 | 250枚 | 2,500円 |
| 5円 | 50枚 | 250円 |
| 1円 | 250枚 | 250円 |
| 合計 | – | 100,000円 |
この内訳では、特に使用頻度の高い1,000円や500円、100円を多めに設定し、実際の会計でつり銭が不足するリスクを抑えています。1日の売り上げや来客数がさらに多い場合は、1,000円や500円の割合を増やすなどの調整が必要です。
50,000円を準備する場合
50,000円のつり銭準備は、
テイクアウト中心の飲食店や来店数が比較的安定している小売店、クリニックなど、現金取引はあるものの回転率が高くない業態に適しています。
これらの業態は客単価が比較的高く、細かい硬貨のやり取りが少ないため、つり銭の総額は控えめに設定しています。
●
顧客単価:2,000円~4,000円
●
営業時間:9:00~18:00(9時間)
●
1日あたりの来客数:50~80人
【内訳の例】
| 金種 | 枚数 | 金額 |
|---|---|---|
| 10,000円 | – | – |
| 5,000円 | 2枚 | 10,000円 |
| 1,000円 | 20枚 | 20,000円 |
| 500円 | 17枚 | 8,500円 |
| 100円 | 85枚 | 8,500円 |
| 50円 | 20枚 | 1,000円 |
| 10円 | 170枚 | 1,700円 |
| 5円 | 40枚 | 200円 |
| 1円 | 100枚 | 100円 |
| 合計 | – | 50,000円 |
この条件では、1,000円や500円の比率を多めにし、10円以下の硬貨は最小限に抑えることで、効率よく管理できます。
30,000円を準備する場合
30,000円のつり銭準備は、 予約制のクリニックや現金対応が少ない業種に適しています。これらの業態では、現金の取引件数が少なく、顧客単価が比較的高いため、大量の小銭を準備する必要はありません。
●
顧客単価:3,000円~5,000円
●
営業時間:9:00~17:00(8時間)
●
1日あたりの来客数:30~40人
【内訳の例】
| 金種 | 枚数 | 金額 |
|---|---|---|
| 10,000円 | – | – |
| 5,000円 | 1枚 | 5,000円 |
| 1,000円 | 15枚 | 15,000円 |
| 500円 | 10枚 | 5,000円 |
| 100円 | 35枚 | 3,500円 |
| 50円 | 17枚 | 850円 |
| 10円 | 50枚 | 500円 |
| 5円 | 20枚 | 100円 |
| 1円 | 50枚 | 50円 |
| 合計 | – | 30,000円 |
この条件では、主に1,000円や500円での対応が中心となり、100円玉以下の硬貨は最小限に抑えられます。現金管理の手間を減らしながらも、つり銭不足を防ぐことができます。
つり銭を準備するための基本ステップ
店舗のつり銭準備金を初めて用意する場合、自店に適した金額がわからないこともあるでしょう。まずは、ここで紹介する基本的なステップを理解したうえで、金額を段階的に調整することが大切です。
ステップ1.自店の業態に合わせてつり銭準備金の額と内訳を決める
前述したつり銭の金額別目安(30,000円、50,000円、100,000円など)を参考に、自店の想定客単価や販売価格、1日あたりの来客数を考慮して必要な額をシミュレーションします。
高回転の飲食店や小売店では1,000円や硬貨を多めに用意する一方、顧客との取引回数が少ない予約制のクリニックなどでは、10,000円や1,000円を中心に最小限の硬貨を確保します。
ステップ2.銀行窓口や両替機で両替する
銀行での両替は最も確実で一般的な方法です。多くの銀行では
両替手数料が発生し、枚数や口座の有無によって変動する場合があります。両替機を利用することで、手数料を抑えられる可能性があります。
硬貨への両替は、銀行営業時間内にしかできないことが多いため、
平日に時間を確保しておくことが重要です。
また、両替機を利用する場合には、利用可能な金種や手数料、枚数の制限を事前に確認しましょう。
ステップ3.日々最適な金額に調整する
開業当初のつり銭準備金はあくまで目安であり、実際の営業を通じて不足や過剰を把握することが大切です。
日々の取引を観察し、つり銭不足が頻発する場合は硬貨や1,000円を追加し、逆に余剰が多ければ次回のつり銭準備金を減らすなどして調整していきます。
こうした調整を繰り返すことで、効率的かつ安全なつり銭管理の実現につながります。
手作業で行うつり銭管理の流れ
つり銭の管理は、正確な金額の把握と迅速な対応が求められる作業です。特に現金取引が多い店舗では、定型業務として確実に行うことが、売上管理や顧客対応のスムーズさに直結します。
ここでは、営業前後に手作業で行うつり銭管理の具体的な流れを解説します。
営業開始前の準備の流れ
営業開始前にやるべきつり銭管理についてまとめました。
●
売上金との区別
売上金と翌日のつり銭準備金を区別して確認します。つり銭準備金はあらかじめ取り分け、誤って売上金と混ざらないようにします。
●
不足金種のチェック
紙幣と硬貨が不足していないかを確認し、必要に応じて銀行や両替機で補充します。営業中に不足が発覚すると対応が後手に回るため、事前のチェックが重要です。
●
金種の整理
つり銭を効率よく渡せるよう、金種ごとに整理してレジにセットします。
営業終了後の現金確認と記録
営業終了後、レジ締め作業時にやるべきつり銭管理についてまとめました。
●
売上金とつり銭準備金の仕分け
営業終了後は、売上金と翌日のつり銭準備金を正確に仕分けます。
●
不足分の補充と管理表への記録
つり銭の不足分の補充や現金の残高を管理表に記録し、日々の変動を把握します。
手動管理では、スタッフが現金を数える必要があり、作業が煩雑になりがちです。 数え間違いや記録漏れなどのミスが発生しやすいため、注意する必要があります。
▶︎お役立ち情報レジ締めを効率化する方法とは?
レジの自動化で、つり銭管理の手間とリスクを解消する
手作業でのつり銭管理は、営業前後の確認や両替作業などに時間がかかるうえ、数え間違いや記録漏れなどのミスも発生しやすいという課題があります。また、現金を多く扱うことで防犯上のリスクも伴います。特に来客数の多い店舗では、日々の業務負担が大きくなる原因となります。
こうした課題を根本的に解決し、経営者やスタッフが接客や店舗運営など本来の業務に集中できる方法として、「
自動つり銭機付きレジ」があります。自動つり銭機を導入することで、現金の受け渡しから在高管理、つり銭準備までを自動化することが可能です。
●
現金管理の課題を解消:現金の取り扱いミスや時間的負担を軽減
●
防犯リスクの低減:レジ内での現金滞留を最小化
●
業務効率化:接客や売上分析など、付加価値業務に注力できる
自動つり銭機により、つり銭管理の正確性と安全性を高めつつ、日々のレジ作業を大幅に効率化できます。
つり銭管理を自動化する【REGIX】
小売店・飲食店・クリニック向け自動POSレジ「REGIX」は、つり銭管理の手間・ミス・リスクを一括解決できるPOSと自動つり銭機が一体となったセミセルフレジです。
現金管理を手作業で行う場合、以下のような課題が発生しやすくなります。
● 時間や手間がかかり、レジスタッフの負担につながる
● 集計ミスが発生しやすい
● 防犯リスクが高い
こうした課題に対し、つり銭準備や現金回収、両替までを自動化できる機能を搭載したREGIXであれば、
現金管理の負担と
リスクを大幅に削減できます。
【REGIXがつり銭管理を効率化できる3つの理由】
1.
「残置回収機能」で翌日のつり銭を最適化
事前に設定したつり銭準備金の金種・枚数をもとに、
当日分の現金売上金と翌日のつり銭準備金を自動で仕分ける「残置回収機能」を搭載。仕分作業の手間を減らし、翌日の営業に必要なつり銭準備金を過不足なく確保できます。
2.
「売上金全回収機能」で安全かつ正確に
レジ内の現金を自動で回収する「全回収機能」を搭載。手作業での集計ミスの心配がなくなります。
3.
両替機能でつり銭不足時に即対応
1,000円を10枚投入し10,000円と両替を行うなど、
指定金額での両替が可能です。営業中のつり銭不足や硬貨不足による機会損失を事前に防ぎます。
手作業による現金管理に伴う負担やミスを「自動化」で解消するREGIX。正確で効率的な現金管理を実現し、店舗運営をサポートします。
▶︎
REGIXの詳細・導入事例はこちら
まとめ
この記事では、つり銭準備金の目安や管理方法、業務を効率化するための工夫について解説しました。
● つり銭準備金の金種や枚数は、
日々の運営の中で観察し、段階的に調整
● つり銭管理を確実に行うことが、
スムーズな会計や顧客満足度につながる
● 手動管理にかかる負担やリスクを解消するには、
自動化できるつり銭機の導入がおすすめ
つり銭管理を正しく行うことで、スムーズな会計作業が実現し、顧客サービスの向上につながります。さらに、つり銭管理機能を備えた自動つり銭機レジを導入すれば、現金の受け渡しや在高管理、両替が行え、正確かつ効率的な現金管理が可能になります。