新規顧客の獲得が難しくなる中、商業施設において「一度来館したお客様にいかに再来館していただくか」は避けて通れない課題となっています。多くのマーケティング担当者がリピート施策に悩み、売上の安定化を模索しているのが現状です。
そもそもリピーターとは何でしょうか。お客様が「また来たい」と思う理由や、逆に足が遠のいてしまう原因も気になるところです。本記事では、こうした基本を押さえながら、データを活用した具体的な施策までを紹介します。
新規顧客の獲得が難しくなる中、商業施設において「一度来館したお客様にいかに再来館していただくか」は避けて通れない課題となっています。多くのマーケティング担当者がリピート施策に悩み、売上の安定化を模索しているのが現状です。
そもそもリピーターとは何でしょうか。お客様が「また来たい」と思う理由や、逆に足が遠のいてしまう原因も気になるところです。本記事では、こうした基本を押さえながら、データを活用した具体的な施策までを紹介します。
商業施設でリピート施策を検討するにあたり、まずは「リピーター」という言葉の定義を整理しておきましょう。
リピーターとは、同じ商品やサービスを複数回にわたって購入・利用してくれるお客様のことを指します。一度きりの購入ではなく、繰り返し足を運んでくれるお客様は「ファン」や「常連さん」とも呼ばれます。
商業施設の場合、特定のテナントだけでなく施設全体のファンになってもらう視点も重要です。「○○ショッピングセンターに行けばいろんな店があって楽しいし、居心地が良いから、いつもここで買い物する」というお客様は、その施設にとってのリピーターと言えるでしょう。モール全体の雰囲気や利便性を気に入って頻繁に足を運んでくれる方を増やすことが、商業施設におけるリピーター獲得のポイントになります。
リピート施策の効果を測る指標として、リピーター率があります。これは一定期間内におけるお客様全体のうち、どのくらいの割合がリピーターになったかを示す値です。
リピーター率の計算式
● リピーター率(%) = 該当期間内のリピーター客数 ÷ 該当期間内の顧客総数 × 100
例えば1カ月間で延べ100人が来館し、そのうち2回以上来館した人が20人なら、その月のリピーター率は20%となります。
一方、似た指標に「リピート率」というものもありますが、リピーター率とは意味が異なります。
リピート率の計算式
● リピート率(%) = リピーター客数 ÷ 新規顧客数 × 100
リピーター率が「全顧客に占めるリピーターの比率」であるのに対し、リピート率は「新規顧客が再来した率」を示す別の指標です。同じ期間でも分母が異なるため、まったく別の指標であり混同しないよう注意が必要です。
なお、リピート率は高いほど望ましい一方で、リピーター率は高ければ良いというものではありません。極端にリピーター率ばかり高いと新規顧客の獲得が不足している可能性もあるため、新規顧客と既存顧客のバランスを意識することが大切です。
商業施設がリピーター獲得に力を入れるべき理由を整理します。リピーターを増やすことは「常連客が増える」だけでなく、集客コストや収益構造に好影響をもたらし、事業の安定と成長につながります。
リピーター戦略の第一のメリットは集客コストの削減にあります。一般に、新規顧客の獲得には既存顧客の維持よりも多くの費用がかかると言われています。
よく引用される「1:5の法則」によれば、新規顧客獲得にかかるコストは既存顧客(リピーター)維持の5倍にもなるとされています。新規顧客を集めるには認知してもらうための広告宣伝費が必要ですし、クーポンやサンプル提供など販促費用もかかります。リピーターが増えれば、同じ販促予算でも効率よく売上を伸ばせる可能性が高まります。
さらに「5:25の法則」として「リピーター離れを5%改善すれば利益が25%向上する」という指標も知られています。それだけ既存顧客の維持・育成は費用対効果に優れた戦略と言えるでしょう。
リピーターの増加は売上基盤の安定化にも直結します。定期的に来館するリピーターは、天候やトレンドに左右されにくい安定した売上基盤となります。
また、リピーターは一度の来館での購買単価が高めになる傾向も指摘されています。1回あたりの購入単価だけでなく、長期的な関係性による「顧客生涯価値(LTV)」を高めることが重要です。
さらに、既存顧客から安定した利益が得られるようになると、その利益を新商品の開発やサービス改善、人材育成や設備投資に再投資できます。リピーターが増えることで利益率が上がり、その利益をまた事業成長に回せる好循環が生まれます。
3つ目の理由は、ロイヤルティの高いリピーターは、友人や家族を連れて来館したり、SNSで好意的な情報を発信したりする「アンバサダー」的な役割を果たすという点です。
リピーターのお客様は施設に対して好意的な印象を持っているため、周囲の友人や家族に積極的に薦めてくれたり、SNS上で良い体験をシェアしてくれたりする可能性が高くなります。商業施設への愛着(エンゲージメント)が高まることで、競合施設との差別化につながります。
リピーターによるポジティブな口コミ拡散は、低コストで新規顧客を呼び込む効果を持っています。熱心なリピーターはまさにアンバサダー的存在となり、商業施設に新たなお客様を連れてきてくれるのです。
リピート施策を考える上では、お客様視点で「なぜまた来たいと思うのか」「どうすると来なくなってしまうのか」を理解しておくことが重要です。
お客様がリピーターになる理由は、商品やサービスの質だけでなく、「居心地のよさ」「利便性」「特別感」にあります。
商業施設特有の「買い回りやすさ」や「休憩スペースの充実」「接客の質」などが心理的満足度(CS)に寄与します。
お客様が「また来たい」と感じる主な理由
● 商品・サービスの質が高く、期待以上に満足できた
● 接客対応が丁寧で気持ちが良い
● 施設の利便性や居心地が良い(休憩スペース、トイレ、駐車場、レイアウトなど)
● 自分にとって特別な扱い・メリットがある(会員限定クーポン、誕生月プレゼントなど)
リピーターになる理由は商品の良し悪しだけに留まらず、お客様が感じるトータルな満足感によって「また来たい」という気持ちが醸成されます。
一方で、せっかく来てくれたお客様がリピーターにならず離れてしまう理由には、明確な不満がある場合だけでなく、「なんとなく忘れている」「他に魅力的な施設ができた」という理由で離反するケースも多くあります。
足が遠のいてしまう主な要因
● 提供価値が期待に満たなかった(品質が低い、価格に見合わない、接客が悪いなど)
● 印象に残らず忘れられてしまった
● リピーター向けの施策が何もない
特に「印象に残らない」というケースは見過ごされがちです。大きな不満はないものの心に引っかかるものもなく記憶に残らない場合、お客様は次回の候補に入れてくれません。「忘れられない」ための継続的な接点作りが重要です。
ここからは、商業施設が実践できるリピーター増加の具体策を紹介します。
お客様との接点を増やし、「忘れられない存在」で居続けるにはオンラインとオフラインを組み合わせた情報発信が重要です。ウェブサイト、SNS、公式アプリ、メルマガなどを活用し、お客様の属性や行動に合わせた情報を届けましょう。
施設内(オフライン)でのポスター掲示やデジタルサイネージと連動させ、接触頻度を高めることも効果的です。
例えば、定期的にメールやDMで新商品・イベント情報、次回使えるクーポンなどを届ければ、「そういえば最近行っていないから行ってみようかな」とお客様の記憶を呼び覚まし、再来館のきっかけを作れます。マルチチャンネルでお客様とのタッチポイントを増やし、常に目に留まる存在になることがポイントです。
リピーター限定の優待や会員プログラムを導入し、お客様に「特別扱いされている」という実感を持ってもらうのも有力な施策です。ポイントカードや会員ランク制度など、利用頻度に応じたインセンティブを用意することで、お客様のロイヤルティ(愛着心)を高めることができます。
リピーター限定のプレセールやイベント招待など、承認欲求を満たす「特別扱い」が有効です。
例えば「5回来館で駐車場1時間無料」や「累計購入額○○円でゴールド会員昇格、ラウンジ招待」といった仕組みが考えられます。リピーターのお客様には「あなたは大切な常連様です」という姿勢を示し、特典メールで先行セール情報を送る、会員限定イベントに招待するなどの対応が効果的です。
リピーターを増やすには、「ここが好き」というプラス要因を増やすと同時に、「ここが不便・不満」というマイナス要因を減らす努力も欠かせません。アンケートや「お客様の声」を収集し、トイレや駐車場、休憩所などの共用部を含めた施設環境を改善し続けることが重要です。
不満要因を取り除くことが、再来館のハードルを下げることにつながります。
特に駐車場・トイレ・休憩スペースなど共用部の快適性や、館内放送・案内表示・ベビールームなどのきめ細かな設備は、来館のハードルを左右する重要ポイントです。「お客様の声に応えて改善しました」という情報をSNSや館内掲示で発信すれば、利用者との信頼関係づくりにも効果があります。
ここまで挙げた施策を効果的に進めていくために、押さえておきたいポイントを紹介します。
「うちの常連さんは○○な人が多い気がする」「たぶん△△がウケているのだろう」といった経験則や現場感覚だけで施策を考えていないでしょうか。現場の肌感覚も大事ですが、現代の顧客行動は複雑化しており、従来の手法(目視や経験則)だけでは限界があります。
「どのエリアから」「どんな属性の人が」「どのくらいの頻度で」来館しているかをデータで可視化することで、効果的なリピート施策が打てるようになります。
具体的には、来館客の属性データや購買データを収集・分析し、「年齢・性別などの基本属性ごとに新規顧客とリピーターの傾向はどう違うか」「どういった商品を購入した人が繰り返し来館しているか」などをデータで見える化します。
商業施設においてリピーターを増やすには、自店の商圏(=主な来館客の居住エリア)をしっかり分析し、強化すべきターゲット層・地域を見極めることもポイントです。足元商圏だけでなく広域からの集客状況を把握し、シェアを落としているエリアを特定することが重要です。
商圏ごとの特性に合わせたチラシ配布や広告配信が、リピーター予備軍の獲得につながります。
来客の多いエリアにはよりロイヤルティ向上を狙ったアプローチ(例:その地域の既存顧客向けに感謝イベント招待状を送る)を、来客の少ないエリアには認知拡大のアプローチ(例:その地域で集中的に折込チラシやSNS広告を配信する)を行う、といった形でエリアごとの戦略を立てることが可能になります。
前述のデータ分析による現状把握や商圏分析を強力にサポートしてくれるツールとして、グローリー株式会社が提供するBUYZO(バイゾー)をご紹介します。
BUYZOは「来館」を軸にした位置情報マーケティングツールであり、商業施設のリピート施策に有用な機能を備えています。小型IoTデバイスのAI BeaconとスマートフォンのGPS機能を活用して来館者を検知し、リアルな顧客行動データを収集・分析します。
| 機能 | 概要 |
|---|---|
| 来館者数のカウント | 日々・時間帯ごとの来館者数を正確に計測 |
| 新規客とリピーターの識別 | 初来館か再来館かを判別し、リピーター率やリピート回数分布を自動算出 |
| 来訪者の居住エリア分析 | 来館者の居住エリアを地図上にプロットし、商圏範囲や地域ごとの来館シェアを可視化 |
| 競合店利用状況の可視化 | 自施設の来館者が他にどの施設に行っているかを分析 |
| 館内回遊のヒートマップ表示 | 人気ゾーン・死角ゾーンを把握し、テナント配置やサイン計画の改善に活用 |
| 位置情報ターゲティング広告 | 来館データをもとに興味関心が高い層を抽出し、GPS連動のウェブ広告を配信 |
BUYZOを活用すれば、来館データの可視化から効果検証まで一貫したPDCAサイクルを回すことができます。
実際の導入事例として、あるショッピングセンターではBUYZOにより「来館者情報を可視化し、ピンポイントに広告配信することで広告施策の効果を向上できた」と報告されています。リピーターを増やしていくためには、お客様を深く理解し、的確な施策を講じ、結果を検証して改善するというプロセスが重要ですが、BUYZOはその一連を支援してくれるツールと言えるでしょう。
リピート施策に関して、運営者の方が抱きがちな疑問にお答えします。
お客様がリピーターになる主な理由は、商品・サービスの質への満足だけではありません。
お客様がリピーターになる主な理由
● 商品・サービスの質への満足
● スタッフの接客対応
● 施設の利便性や雰囲気
● 自分に対して特別な対応をしてくれるという「信頼と愛着」
特にファンレベルにまで至ったお客様は「ロイヤルカスタマー」と呼ばれ、購入頻度・額ともに一段と大きくなる傾向があります。
リピーターを増やすことで、以下のようなメリットが期待できます。
リピーターを増やす主なメリット
● 集客コストの削減
● 売上の安定化
● 客単価やLTVの向上
● 口コミによる新規顧客の獲得
リピーターは売上の多くを支える存在であり、増やすことは事業成長の鍵と言えます。
リピーターを増やすには、以下のポイントを意識しましょう。
リピーターを増やすコツ
● お客様との接点を維持し「忘れられない」ようにする
● 顧客データを分析して個々のニーズに合った情報や特典を提供する
● 定期的なメール配信やSNS発信でアプローチし続ける
「また来たい」と思われる施設は、このような施策や取り組みを継続的に行っています。一度きりで終わらせない仕組みづくりが、リピーター獲得の土台になります。
リピート率を上げる施策として、以下のような取り組みが有効です。
代表的なリピート率向上施策
● ポイント制度や会員ランク制度の導入(「5回来館で○○プレゼント」など)
● SNSや公式アプリを通じた定期的な情報発信(クーポン配信やキャンペーン告知)
● 施設環境の快適性向上(休憩スペースの増設、案内表示の改善、キッズスペースの充実など)
これらの施策をバランスよく組み合わせ、自施設に合ったリピーター戦略を実行することが重要です。
商業施設にとって、優良顧客であるリピーターは売上安定化のカギとなる存在です。リピーターが増えれば、売上の多くを支えてくれるだけでなく、周囲への口コミで新規客を呼び込むプラスの循環が生まれます。
リピート施策を効果的に進めるためには、オンライン・オフライン融合の情報発信、特別感を演出する優待プログラム、お客様の声を反映した環境改善などをバランスよく組み合わせることが大切です。併せて、データ分析に基づく現状把握と商圏の見極めを行い、ターゲットを絞った効率的な施策運用を心がけましょう。
来館データの可視化から効果検証まで一貫して行いたい場合は、「BUYZO」の活用もぜひご検討ください。
また、リピート施策に注力しつつも新規顧客の獲得を疎かにしないバランスも大切です。新規のお客様がいて初めてリピーター予備軍が増えるわけですから、両輪で取り組むことが理想です。長期的な視点で、新規→リピーター→ロイヤルカスタマーという顧客育成の流れを社内に定着させ、売上アップと安定化を目指しましょう。