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テーマパーク・レジャー施設の集客力を高める方法とは?来場者データ活用のポイント
テーマパーク・レジャー施設の集客力を高める方法とは?来場者データ活用のポイント
COLUMN
テーマパーク・水族館・ミュージアムなどレジャー施設の集客を高めるには、ターゲット設定・施策の使い分け・来場者データ活用がカギです。実践的な手法とポイントをご紹介します。
テーマパークや水族館、動物園、ミュージアムなどを運営する企画・マーケティング担当者の多くは、「もっと集客を伸ばしたい」という前向きな気持ちと、「施策を打っても成果が見えにくい」「来場者数がなかなか伸びない」という不安を同時に抱えています。
コロナ禍からの回復が進む一方で、伸びている施設と伸び悩む施設の差は広がっています。その差を生んでいるのは広告費の多さではなく、体験価値の設計・SNS活用・データを使った施策改善の積み重ねです。
この記事では、集客の基本的な考え方から代表的な手法、来場者データ活用のポイントまでを整理します。
国内レジャー施設の集客状況
市場全体は回復基調にある一方で、施設ごとの差は広がっています。
来場者数を左右するのはカテゴリーや立地、投資内容、体験価値、情報発信、再来場の仕組みなど複数の要素です。
カテゴリー別に見る来場者数の動向
コロナ禍からの回復は進んでいますが、施設によって差が大きく残っています。
綜合ユニコムの調査によると、2023年度時点でコロナ前(2019年度)の水準を上回った施設は約3割にとどまり、半数以上がまだコロナ前に届いていない状況でした。市場全体では回復基調が続く一方、その恩恵を受けられている施設とそうでない施設の差は広がっています。
テーマパークでは、東京ディズニーリゾートが2024年度に2,756万人を記録。オリエンタルランドのIR情報によると国内市場シェアは約50%に達します。
2位のサンリオピューロランドが約150万人、3位の志摩スペイン村が約142万人と、大型投資や話題性のある施設への集中が顕著です。
水族館・動物園は回復が比較的早いカテゴリーです。屋外・準屋外で過ごしやすい点や地域観光との親和性が背景にあり、綜合ユニコムの2024年度調査によると沖縄美ら海水族館は2019年度以来となる300万人台の回復を果たしています。
ミュージアム系は文化庁のデータによると長期的には横ばい基調で、企画展の内容や時期によって入館者数が変動する傾向があります。
カテゴリーごとに来場動機が異なるため、自施設の特性に合った集客手法を選ぶことが重要です。
出典:2023年度有料施設トップ100の集客実態(綜合ユニコム株式会社)
出典:市場環境(株式会社オリエンタルランド)
出典:主要レジャー施設2024年度入場者数データ(綜合ユニコム株式会社)
出典:2.博物館数、入館者数、学芸員数の推移(文化庁)
集客に課題を抱える施設に共通する背景
集客に苦戦する施設には共通した背景があります。
まずは、余暇の選択肢の多様化です。体験型ミュージアム、商業施設内アトラクション、デジタル展示など、同じ休日の時間を奪い合う別業態との競争が激化しています。
加えて、来場者ニーズが「見る」から「体験する」「投稿する」へとシフトしていることです。
見落とされがちな課題として、「なんとなく広告を打っている」「感覚頼みで施策を決めている」という現場の状態があります。施策そのものが間違っているというより、ターゲット設定と効果検証が後回しになっているケースが多くあります。
旅行年報2025では既存施設内の新エリア・新施設のオープンが多数あり、話題性や投資が来場者数を押し上げている局面が続いているとされています。
大規模投資が難しい施設ほど、体験設計・情報発信・データ活用での差別化が求められます。
レジャー施設の集客を成功させるための基本的な考え方
個別施策の前に、成功率を高めるための基本設計を整理します。
特に重要なのは、ターゲットの明確化、新規客とリピーターの分離、効果検証を前提にした改善の繰り返しです。
ターゲット層を明確にすることが出発点
来場動機・有効な媒体・来場しやすい時期はターゲットによってすべて異なります。まず「誰に来てほしいのか」を明確にすることが、集客設計の起点です。
| ファミリー層 |
「子どもが楽しめる」「雨でも安心」「一日過ごせる」が響きやすい |
| 友人グループ・若い世代 |
「写真・動画映え」「限定体験」「話題性」が刺さりやすい |
| カップル |
季節イベントや夜間演出、記念日対応が有効 |
| シニア・三世代 |
アクセスのしやすさ、バリアフリー対応、地域情報誌との相性が高い |
| インバウンド |
多言語対応や外国語での口コミ管理も施策の一つ |
ターゲットがあいまいなままでは表現もビジュアルも中途半端になり、どの層にも深く刺さりません。
予算が限られるほど、誰に何を届けるかの解像度が求められます。
新規来場者の獲得とリピーターの育成を分けて考える
新規来場者の獲得とリピーターの育成は、必要な施策が根本的に異なります。
新規来場者には「認知→興味→来場」の流れに沿った設計が必要で、施設の魅力やアクセス・料金などの基本情報をわかりやすく届けることが求められます。
一方リピーターは、前回の体験に対する「満足度」、もう一度行きたいという「再来意欲」、実際に足を運ぶ「来場タイミング」の三つがカギになります。限定企画や季節ごとの変化、会員特典など「次に来る理由」を継続的に提供することが育成につながります。
両者を同じ施策で同時に獲得しようとすると、どちらにも届きにくくなります。新規客向けと既存客向けで情報設計を分けることが、集客効率を高める第一歩です。
施策の効果をデータで検証し改善サイクルに乗せる
測定すべき指標は来場者数だけではありません。来場者数・属性・滞在時間など複数の指標で効果測定を行い、次の施策に反映するPDCAの仕組みが重要です。
どの商圏から来ているか、どのフロアに滞在しているか、再来率はどう変化したか。こうした多角的なデータを持つことで改善サイクルが回せます。
「どんなデータが取れると施策が変わるか」という問いを持つことが、データ活用を考えるきっかけになります。
集客の成否は施策の多さより、来場者理解の深さと改善の速度で決まります。
レジャー施設における主な集客手法
ここからは、多くの施設で活用されている集客手法を整理します。
どれか一つが万能なのではなく、ターゲットと目的に応じて組み合わせることが重要です。
オンライン集客(自社サイト・SEO・Web広告)
公式サイトは施設にとって最も重要な一次情報源です。営業時間・料金・アクセス・イベント情報・チケット購入導線など、来場判断の根拠となる情報が集約されます。
SNSが話題づくりを担う時代でも、来場直前の確認は公式サイトで行われることが多く、情報の網羅性・更新頻度・問い合わせへの導線設計が来場者数に直結します。
SEOでは「エリア名×施設種別」「子連れ×地域」「雨の日×おでかけ」など、来場意欲の高い検索に対応したコンテンツ設計が有効です。Web広告はリスティング広告(顕在層)、ディスプレー広告やSNS広告(潜在層・再想起)とターゲットによって使い分けます。
来場者データと組み合わせることで、特定商圏の居住者や過去来場者に絞った精度の高い広告配信が可能になります。
SNS・動画プラットホームを使った情報発信
各プラットホームの特性に合わせた使い分けが、SNS集客を効果的にするポイントです。レジャー施設とSNSの親和性が高いのは、施設自体が視覚的・体験的な商品だからです。
| Instagram |
写真映えや世界観訴求。季節の見どころやフォトスポットとの相性が高い |
| X |
速報性やイベント告知、話題の拡散に向いている |
| TikTok |
短尺動画で施設の雰囲気や体験を疑似的に伝えやすい |
| YouTube |
体験レポートや施設紹介など長尺での深い魅力訴求に向いている |
サンシャイン水族館の「天空のペンギン」は都市立地の制約を逆手に取った演出で来場者の投稿が自然に広がった事例です。単なる告知ではなく、「来場者が投稿したくなる体験」を設計することが集客につながる視点です。
来場者が自ら発信するUGC(ユーザー生成コンテンツ)は施設の公式発信より信頼されやすく、口コミによる新規集客につながります。
MEO・口コミサイト・ポータルサイトの活用
Googleビジネスプロフィールを活用したMEO対策により、「近くの観光地」「子連れで楽しめる場所」などの検索に対して、地図・写真・口コミ・営業時間などが検索結果上で表示され、来場判断に直結します。
口コミ・レビューは第三者の体験情報として来場検討者の意思決定に影響を与えます。「スタッフの対応」「混雑状況」「子連れの安心感」など口コミに表れやすい要素は施設改善のヒントでもあります。
レジャー特化ポータルサイトへの掲載は、指名検索が発生していない潜在層へのリーチ手段として有効です。
出典:Googleビジネスプロフィール
出典:クチコミを増やすためのヒント(Googleビジネスプロフィール ヘルプ)
口コミは増やそうとするより、体験価値そのものを高めることで自然と積み上がるものです。
オフライン集客(チラシ・交通広告・地域連携)
近隣施設や行政・観光協会との連携は、単独の広告出稿以上の効果を生むことがあります。シニア層やファミリー層への訴求では、新聞折り込み・ポスティング・交通広告・地域情報誌など生活圏に密着した媒体が有効な場面もあります。
地域全体の回遊動線に施設を組み込み、宿泊施設やバス事業者とセットで訴求することで、個人客とは異なるルートで来場者を獲得できます。
オフライン施策は「広告」と捉えるより、地域の流通設計に施設を位置づける視点で考えると、費用対効果の高い取り組みにつながります。
来場者数を増やすための集客アイデア
ここでは、来場意欲を高める具体的なアイデアを4つの観点で整理します。
SNSで自然に拡散される体験・コンテンツの設計
没入感・参加感・その場でしか味わえないストーリー性のある体験は、投稿後も第三者が「行ってみたい」と感じる内容になります。
フォトスポット・ハッシュタグ企画・季節限定の体験・限定コラボなど仕掛けの種類は多様ですが、写真映えだけでは一過性で終わりやすく、体験の深さが拡散力を左右します。
来場者の投稿は施設の広告より信頼されやすく、それがUGCとして広がることで、施設を知らなかった人への認知拡大にもつながります。
「施設が何を見せたいか」ではなく「来場者が何を持ち帰って発信したくなるか」という視点で体験を設計することが、SNS集客の起点です。
参加型・体験型コンテンツの導入
謎解き・スタンプラリー・ワークショップなど、「見る」から「やる」体験への転換が近年のレジャー施設集客で効果を発揮しています。施設内を能動的に回遊させることで滞在時間が延び、物販・飲食との自然な接点も増えます。
体験型コンテンツは集客施策としてだけでなく、再来意欲の向上にもつながります。「また来て続きをやりたい」「次は別のルートで回ってみたい」という動機が、リピーターの育成にも機能します。
スタンプラリーのデジタル化によって、どのエリアで参加が止まったかなどの回遊データの取得も可能になり、施設改善にも活かせます。
団体客・法人の受け入れによる集客底上げ
学校遠足・企業研修・バスツアーなどの団体需要は、平日集客や閑散期の底上げ手段として有効です。個人客に比べて計画性が高く、予測しやすい需要である点も特長です。
受け入れを強化するには、専用の問い合わせ・予約窓口の設置、団体料金・特別プランの設定、体験学習プログラムの整備が必要です。こうした態勢を整えることで、繁忙期に偏りやすい需要の波を平準化できます。
団体集客は「数を増やす施策」であると同時に、年間を通じた安定した来場者数を確保する需要平準化の施策です。
初回来場から再来場へつなげる仕掛けづくり
初回来場直後は来場者の感情が温まっているため、このタイミングで次回の接点を設計できるかどうかがリピーター獲得の成否に大きく影響します。具体的な手段としては以下が挙げられます。
● 来場当日の特典・次回来場クーポンの配布
● 年間パスポート・ポイント制度・会員制プログラムの整備
● 季節・記念日・限定企画など来場きっかけの継続的な設計
● 「初めて来た人が次も来たくなる」動線・接客・情報提供の設計
新規来場者を集め続けるだけでは広告費やイベント費用が積み上がります。再来場の仕組みが、集客コストを長期的に効率化します。
集客効果を最大化するカギは「来場者データの活用」
ここまで紹介した施策を「感覚」ではなく「再現可能な運用」に変えるには、来場者データの活用が欠かせません。
感覚頼みの集客から脱却するための視点
効果の可視化ができていないことが、感覚頼み集客の本質的な問題です。データがない状態では次のようなことが起きます。
● 広告を出したが、来場にどれだけつながったかわからない
● SNSを更新しているが、誰に効いているかわからない
● リピーターがどれくらいいるか把握できていない
● どの施策が効いたか判断できず、翌年も同じ感覚で繰り返すしかない
来場者データを持つことで「誰に・いつ・何を届けるか」の精度が上がります。
感覚頼みの集客から脱却するには、来場者を「見える化」する仕組みを持つことが出発点です。
新規来場者とリピーターをデータで識別する重要性
新規・リピーターの比率や来場サイクルをデータで把握することで、それぞれに最適な施策を打てます。
全来場者に占める初回の割合、再来の周期、特定施策が新規を増やしたのか既存客を動かしただけなのか。こうしたデータがなければ、施策の目的と成果がずれてしまいます。
会員ベースのデータだけでは捉えられない、一般来場者の行動を把握できるかどうかが、施策の精度を左右します。
来場者データ活用を支援する「BUYZO」
BUYZOは、グローリー株式会社が提供する来店・来館を軸にした位置情報マーケティングツールです。Wi-Fi通信を使ったAIBeaconによりスマートフォンを検知し、来場回数・滞在時間・建物内の詳細エリア・居住エリア・競合施設の利用状況などをデータ化できます。会員登録の有無にかかわらず来場者の行動を把握できる点が特長です。
実際の活用事例として、横浜みなとみらい万葉倶楽部では、会員情報により居住エリア・年齢・性別は把握できていたものの、「館内のどこを回遊しているか」「どのフロアにどれだけ滞在しているか」といった行動データは把握できていませんでした。
BUYZO導入後にデータを確認したところ、経験則では「もっと長く滞在されている」と感じていたエリアが、実際には想定より滞在時間が短いことが判明。そのエリアについて個別にヒアリング調査を行い、改善施策につなげています。
また、曜日や時間帯ごとの来場者数や客層を予測できるようになったことで、お食事処の席数調整やメニュー提案など、サービス提供の計画化も進めています。
多くの施設が直面しているのは「データが全くない」ではなく、「点の情報はあるが来館・回遊・再来という線の情報がない」という状況であり、BUYZOはそのギャップを埋めるツールとして機能します。
出典:お客様に非日常な体験を。フロアの回遊データを活用(グローリー株式会社)
来場者データを活用した集客施策に関心がある方は、BUYZOの詳細ページをぜひご覧ください。
まとめ
レジャー施設の集客において、広告やイベントの数だけで成果を出し続けることは難しくなっています。伸びている施設に共通するのは、体験設計・情報発信・再来場の仕組み・データ活用の取り組みです。
集客を成功させる基本はターゲットの明確化、新規客とリピーターを分けた設計、施策の効果検証の3点です。そしてこれらを感覚ではなく再現可能な運用にするには、来場者データが欠かせません。
誰が、どこから、どのくらい来て、どこを回遊しているか。そのデータが見えることで、施策の精度は大きく変わります。「施策は打っているのに成果が見えにくい」と感じているなら、まず来場者の見える化から始めることをおすすめします。