デジタル広告が主流となった現在でも、ショッピングモールや商業施設の集客において「チラシ」は根強い効果を発揮しています。一方で、「配布しても反響が見えにくい」「本当にコストに見合っているのか」といった悩みを抱えるマーケティング担当者は少なくありません。
チラシ集客を成功させるカギは、デザインや内容だけではなく、「誰に届けるか」「どこに届けるか」という商圏の視点と、「配布後の効果をどう測定するか」という運用面にあります。
本記事では、チラシ集客のメリット・デメリットを整理したうえで、配布方法の選び方や効果を最大化するコツ、反響率の測定手法までを解説します。
チラシ集客は効果がある?メリットとデメリットを整理
チラシは古くから使われてきた集客手法ですが、デジタル時代においても一定の効果が認められています。ただし、万能ではありません。まずはメリットとデメリットを正しく理解し、自社の集客戦略に合うかどうかを判断しましょう。
チラシ集客のメリット
チラシ集客の強みは、特定のエリアに絞って情報を届けられる点にあります。配布地域を細かく指定できるため、商圏が明確な商業施設やショッピングモールとの相性は良好です。
また、紙媒体であるチラシは、インターネットをあまり利用しない層にも届きやすい特長があります。ファミリー層の場合、親世代がチラシを見て家族に共有するケースも多く、幅広い年齢層へアプローチできる手段として有効です。
さらに、チラシは手元に残る媒体です。クーポン付きのチラシであれば、冷蔵庫に貼られたり財布にしまわれたりと、必要なときに再度読み返してもらえる可能性があります。テレビCMやWeb広告のように一瞬で流れてしまう媒体と比べ、繰り返し目に触れる機会が生まれやすいのです。
【チラシ集客の主なメリット】
● 配布エリアを限定でき、商圏内の見込み客に届けやすい
● インターネットを使わない層にもリーチ可能
● 紙として手元に残るため、再読される機会がある
● 短期間で大量に配布でき、即効性が期待できる
チラシ集客のデメリット
一方で、チラシにはいくつかの弱点も存在します。まず、一度印刷してしまうと内容の修正ができない点が挙げられます。誤字脱字や価格変更があっても、刷り直しには追加コストが発生します。
また、Web広告のようにリアルタイムで細かいターゲティングを行うことは困難です。エリアや配布先の建物タイプは選べても、「30代女性だけに届ける」といった属性による絞り込みはできません。
加えて、配布後の効果測定が難しい点も課題です。「チラシを見た」という来館客の声を拾うには、クーポンやアンケートなどの仕組を別途用意する必要があります。何も準備しないままだと、配布枚数に対してどれだけの反響があったのか把握できず、改善につなげにくくなります。
【チラシ集客の主なデメリット】
● 印刷後の修正ができず、内容変更にはコストがかかる
● 年齢・性別などの属性で配布先を選べない
● 効果測定の仕組を用意しないと反響が見えにくい
● 紙面スペースに限りがあり、伝えられる情報量が限られる
チラシ集客とデジタル広告の比較
チラシとデジタル広告は、それぞれ異なる特性を持っています。自社のターゲットや目的に応じて使い分けることが重要です。
| 項目 |
チラシ |
デジタル広告 |
| ターゲティング |
エリア単位で指定可能 |
年齢・性別・興味関心など細かく設定可能 |
| リーチ層 |
高齢者・ファミリー層に強い |
若年層・スマホユーザーに強い |
| 即効性 |
配布後すぐに反響が出やすい |
設定次第で即日配信可能 |
| 修正のしやすさ |
印刷後は修正不可 |
リアルタイムで変更可能 |
| 効果測定 |
工夫が必要(クーポン、QRコードなど) |
クリック数・コンバージョンなど自動計測 |
| コスト |
印刷・配布費用が固定でかかる |
予算に応じて柔軟に調整可能 |
どちらか一方ではなく、両方を組み合わせることで相乗効果を狙う施策も有効です。
チラシ集客が向いているケース
商業施設やショッピングモールにおいて、チラシは施設全体の集客とテナント個別の集客を同時に行える媒体として活用できます。例えば、以下のようなシーンではチラシの効果が発揮されやすいといえます。
【商業施設でチラシが有効なケース】
● 大規模セールやリニューアルオープンの告知
● テナント合同のキャンペーンやスタンプラリー
● 季節イベント(クリスマス、夏休みなど)の告知
● 子ども向けイベントやワークショップの集客
チラシ1枚で施設の魅力とテナントの情報を同時に伝えられるため、来館動機を複数提示できる点が強みです。「セールもやっているし、子ども向けイベントもあるなら行ってみよう」といった複合的な来館理由を生み出せます。
代表的なチラシの配布方法
チラシの効果は、配布方法によって大きく変わります。ターゲット層や予算、配布エリアの特性に応じて最適な手段を選びましょう。ここでは、代表的な3つの配布方法を紹介します。
新聞折り込み
新聞折り込みは、新聞購読世帯に広くリーチできる配布方法です。新聞という媒体が持つ信頼性を借りられるため、広告に対する心理的なハードルが下がりやすい特長があります。
配布日を指定できるため、「週末のセールに合わせて金曜日に届ける」といったスケジュール戦略も立てやすいでしょう。短期間で大量のチラシを届けられるため、即効性を求めるキャンペーンにも向いています。
新聞購読者層は比較的年齢層が高く、購買意欲のある主婦層やシニア層が多い傾向があります。これらの層をターゲットにする場合、新聞折り込みは有力な選択肢となります。
ただし、新聞を購読していない世帯に届かない点には注意が必要です。若年層や単身世帯では新聞離れが進んでいるため、ターゲットによっては別の配布方法を検討する必要があります。
ポスティング
ポスティングは、各家庭のポストに直接チラシを投函する配布方法です。新聞を購読していない世帯にも届けられるため、若年層や単身世帯へのアプローチに有効です。
配布エリアを細かく指定できる点も強みです。「店舗から半径2km以内」「マンションのみ」「戸建てのみ」といった条件で配布先を選べるため、ターゲットを絞った効率的な配布が可能になります。
ポストに投函されたチラシは、帰宅時に必ず目に入るため、視認率が高いとされています。
一方で、配布作業には人手とコストがかかります。自社で行う場合は労力が大きく、専門業者に依頼する場合は費用が発生します。また、「ポスティングお断り」の住居には配布できないため、エリアによってはリーチが限定される場合もあります。
その他の配布方法
新聞折り込みやポスティング以外にも、チラシを届ける方法はいくつかあります。
街頭配布(ハンディング)は、駅前や商業施設の入口などで直接手渡しする方法です。ターゲットの反応を見ながら配布でき、声かけによって関心を引くこともできます。ただし、受け取りを拒否されるケースも多く、効率面では課題が残ります。
店舗設置は、協力店舗やラックにチラシを置いてもらう方法です。興味を持った人が自発的に手に取るため、関心度の高い層にリーチできます。
同梱チラシは、通販商品や宅配サービスの荷物に同封してもらう方法です。届け先の属性がある程度わかっている場合、ターゲティングしやすい配布手段となります。
集客効果を最大化させるチラシ配布のコツ
チラシを配布するだけでは、期待した効果は得られません。「誰に届けるか」「いつ届けるか」「どう届けるか」を戦略的に考えることで、集客効果は大きく変わります。ここでは、効果を最大化するための4つのコツを紹介します。
商圏を正しく把握する
チラシ配布の前提として重要なのが、自社の商圏を正しく把握することです。商圏とは、店舗や施設に来るお客様が居住・勤務しているエリアを指します。
商圏は一般的に、来館頻度や距離によって「主商圏」と「副商圏」に分けられます。主商圏は来館頻度が高いお客様が集中するエリア、副商圏はそれよりも広い範囲で、来館頻度はやや低いものの一定のお客様が存在するエリアです。
「どのエリアから、どれくらいのお客様が来ているのか」をデータで把握することで、チラシの配布エリアを合理的に決定できます。
例えば、既存顧客の多いエリアにはリピートを促すチラシを集中配布し、潜在顧客が多いと想定されるエリアには認知目的のチラシを配布する、といった使い分けが可能になります。商圏を把握せずに漫然と配布していては、限られた予算を効率よく使えません。
商圏分析の詳細については、以下の関連記事もご参照ください。
商圏とは?種類や目安、自店舗に合わせた設定の基本を徹底解説
エリアマーケティングとは?実践の流れと事例で学ぶ店舗戦略の基本
ターゲットの行動を把握する
配布タイミングも、チラシの反響を左右する重要な要素です。ターゲットの行動パターンを把握し、最適なタイミングで届けることを意識しましょう。
例えば、週末の来館を狙うのであれば、平日の早い段階でチラシが届くように配布します。届いたその日に行動を起こす人は少数で、多くは「週末に行ってみよう」と予定を立てるためです。
年間の販促計画の中で、チラシをどのイベントの前に組み込むかも検討が必要です。季節イベントやセールの告知であれば、開催日から逆算して配布日を設定します。
【複数回配布する場合の注意点】
● 配布の間隔を空けすぎない(忘れられてしまう)
● 毎回同じ内容ではなく、情報を更新する
● イベントの段階に合わせて内容を変える(事前告知→直前告知→開催中告知)
同じエリアに繰り返しチラシを届ける場合は、単調な内容にならないよう工夫が求められます。
ターゲットに合わせた媒体を選定する
前述のとおり、配布方法にはそれぞれ特性があります。ターゲット層に応じて媒体を使い分けることで、到達率と反響率を高められます。
高齢者層がメインターゲットであれば、新聞購読率が高いため新聞折り込みが有効です。一方、若年ファミリー層や単身世帯を狙う場合は、新聞を取っていない世帯も多いため、ポスティングのほうが届きやすいでしょう。
ターゲットの属性だけでなく、居住エリアの特性(マンションが多い、戸建てが多い、高齢者が多いなど)も考慮して媒体を選びましょう。
場合によっては、主要エリアは新聞折り込み、新聞非購読世帯が多いエリアはポスティング、というように複数の媒体を組み合わせる方法も検討できます。
デジタル広告と組み合わせる
チラシの効果をさらに高めるには、デジタル広告との併用が有効です。「紙かデジタルか」ではなく、「紙+デジタル」で接点を増やす考え方です。
具体的には、チラシにQRコードを掲載し、施設のWebサイトやイベント詳細ページ、SNSアカウントへの導線をつくります。チラシだけでは伝えきれない情報をWeb上で補完でき、興味を持った人をスムーズに誘導できます。
また、チラシ配布と同じタイミングで、同じエリア・ターゲットに向けてWeb広告を配信する方法もあります。チラシとデジタル広告で同じビジュアルやメッセージを使うことで、認知効果が高まり、行動につながりやすくなります。
配りっぱなしにしない!チラシの反響率を測定する方法
チラシ配布で陥りがちなのが、「配って終わり」になってしまうケースです。効果測定を行わなければ、次回の改善につなげられません。ここでは、反響率の考え方と測定方法を解説します。
一般的な反響率の目安と計算式
反響率とは、配布したチラシに対してどれだけの反応があったかを示す指標です。計算式は以下のとおりです。
反響率(%) = 反応数 ÷ 配布枚数 × 100
例えば、1万枚のチラシを配布して100件の問い合わせがあった場合、反響率は1%となります。
不特定多数を対象としたチラシ・DMの反応率は0.5~1.0%程度とされています。1万枚配布した場合、50~100件程度の反応があれば平均的な水準といえます。
なお、既存顧客を対象とした場合は5.0~15.0%程度と、反応率は大きく上昇します。
出典:日本政策金融公庫「売り上げアップにつながるチラシ・DM作成術」
この数値を基準として、自社のチラシがどの程度の効果を出しているかを把握し、改善を重ねていくことが重要です。
アナログな手法での効果測定
チラシの反響を測定する最もシンプルな方法は、クーポン券の活用です。「このチラシ持参で○○円引き」といった特典を付け、使用されたクーポンの枚数をカウントすれば、チラシ経由の来館数を把握できます。
また、問い合わせ時に「何を見て来館されましたか?」とアンケートを取る方法もあります。選択肢に「チラシ」を入れておけば、チラシ経由の来館者を特定できます。
いずれの方法も、事前に仕組を用意しておかなければ測定できません。配布前の段階で効果測定の準備をしておきましょう。
【アナログな効果測定の方法】
● チラシにクーポン券を付け、使用枚数をカウント
● 問い合わせ時に「何を見て来たか」をヒアリング
● チラシごとに異なるキャンペーンコードを設定
デジタルを活用した効果測定
デジタルツールを活用すれば、より詳細なデータを取得できます。
チラシ専用のQRコードを掲載し、アクセス先のページへの流入数を計測する方法があります。Googleアナリティクスなどの解析ツールを使えば、QRコード経由のアクセス数や、その後の行動(ページ閲覧、フォーム送信など)を追跡できます。
また、チラシ専用の電話番号を用意し、その番号への着信件数を記録する方法も有効です。通常の問い合わせ番号とは別の番号を設けることで、チラシ経由の問い合わせを明確に区別できます。
デジタルを活用することで、「見た」だけでなく「行動した」人の数を正確に把握できるようになります。
PDCAサイクルを回す
効果測定は、測定して終わりではありません。得られたデータを基に分析し、次回の配布計画を改善することが重要です。
例えば、エリア別の反響率を比較し、効果の高い地域には次回以降さらに重点配布を行い、効果の低い地域は配布を見直す、といった判断ができます。
配布方法別(新聞折り込み vs ポスティング)、配布タイミング別(平日 vs 週末)といった切り口でも比較・分析し、最も効率の良い組み合わせを見つけていきましょう。
「配布→測定→分析→改善」のサイクルを継続的に回すことで、チラシ集客の精度は着実に向上します。
「BUYZO」でチラシ集客の精度を高める
ここまで解説してきたとおり、チラシ集客の効果を高めるには「商圏の把握」と「効果測定」が欠かせません。しかし、「お客様がどこから来ているのか」を正確に把握するのは、従来の方法では難しいのが実情です。
BUYZOは、商業施設の駐車場カメラシステムなどと連携し、来館客の商圏を分析できるサービスです。ナンバープレート情報を基に、居住地や勤務地といった「本当の商圏」を可視化できます。
BUYZOを活用することで、以下のようなことが可能になります。
【BUYZOでできること】
● お客様がどのエリアから来ているかをデータで把握
● 通常時だけでなく、季節ごと・イベントごとの商圏傾向の変化を分析
● チラシ配布エリアと実際の商圏を比較・検証
● 次回の配布計画(エリア選定・コスト配分)を最適化
チラシ配布後に「どのエリアからのお客様が増えたか」を検証できれば、効果的だった配布エリアと、そうでなかったエリアを明確に区別できます。経験や勘に頼らない、データに基づいたチラシ集客が実現します。
「商圏を正しく把握したい」「チラシ配布の費用対効果を改善したい」とお考えの方は、ぜひBUYZOをご検討ください。
まとめ
チラシは、デジタル広告全盛の現在でも、商業施設の集客において有効な手段です。特定エリアへの訴求力、幅広い年齢層へのリーチ、手元に残る保存性といった強みを持っています。
ただし、「配布すれば効果が出る」というものではありません。商圏を正しく把握し、ターゲットに合った配布方法・タイミングを選び、配布後は効果を測定して改善につなげる。この一連のサイクルを回すことで、チラシ集客の精度は向上していきます。
【チラシ集客成功のポイント】
● 商圏を把握し、配布エリアを合理的に決定する
● ターゲット層に合わせて配布方法・タイミングを選ぶ
● デジタル広告と組み合わせて接点を増やす
● 反響率を測定し、PDCAサイクルを回す
「どのエリアからお客様が来ているのか」を正確に把握したい場合は、BUYZOのような商圏分析ツールの活用もご検討ください。データに基づいた配布計画により、チラシ集客の費用対効果を改善できます。